林芙美子文学賞、大賞に東京都の朝比奈秋さん「塩の道」
城真弓
【福岡】第7回林芙美子文学賞(北九州市主催)の大賞に、東京都の朝比奈秋さん(39)=ペンネーム=の「塩の道」が選ばれた。賞金100万円が贈られ、受賞作は「小説トリッパー」(朝日新聞出版)に掲載される。大賞が決まるのは第4回以来3年ぶり。
受賞作は、東北の診療所で医師として働く主人公が、村民たちに翻弄(ほんろう)される日々を送るなか、夜1人で患者宅を訪れ、不思議な体験に巻き込まれていく物語。受賞について朝比奈さんは「評価していただき、人に何か感じてもらえるものだったのだと分かり、ほっとした」と語った。
自身が以前、医師として東北のへき地診療に携わった経験を作品に生かしたという。「不思議な体験はなかったが、気候や風景が印象に残ったから、舞台にしたのだと思う」と話した。
賞は北九州ゆかりの作家林芙美子にちなみ、市が2014年度に創設。今回は国内外から396作品が寄せられ、最終選考に5作品が残った。最終選考委員は直木賞作家の角田光代さんと井上荒野さん、芥川賞作家の川上未映子さんが務めた。表彰式は2月20日にリモート開催される。(城真弓)
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