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 神奈川県逗子市池子2丁目のマンション敷地の斜面が崩れ、下の市道を歩いていた県立高校の女子生徒(当時18)が死亡した事故から5日で1年。女子生徒の両親らがこの日、マンションの区分所有者と管理組合、管理業務の委託を受けた管理会社を相手に、約1億2千万円の損害賠償などを求めて横浜地裁に提訴した。

 この日、現場には知人や近くの人たちが次々に献花に訪れた。

 「元気でやってるか?」

 高校の同級生という男性は、花を手向けて手を合わせ、語りかけたという。「こんな状況だけど、こっちは元気で頑張ってるよ」

 亡くなった女子生徒は明るくて人望があり、事故直前には校内で「元気?」と話しかけてくれた。「その一言に受験期の自分はエールをもらった。みんなを元気にしようとしてくれる人だった」と話した。

 訴状によると、女子生徒は教師になるのが夢で、事故直前に大学進学が決まったばかり。当日は友人と出かけるため、午前7時40分ごろ家を出た。同55分ごろ、後から車で家を出た家族と路上で手を振り合った。その3分後、突然崩落した約66トンの土砂の下敷きになり、死亡した。

 原告側の主張では、現場は1960年ごろに市道建設のため地山が切り土され、斜面に擁壁が作られた。斜面の上は68年ごろに造成され、2003年のマンション建設に先立ち地質調査が行われた。調査は、「風化により強度低下」が進んでおり、落石防護などが望ましいと指摘したが、対策は取られなかった。

 崩落前日にはマンション管理人が斜面上部に亀裂を発見し、管理会社に報告したが、通行止めなどの措置も取られなかった。

 これらから原告側は、大雨や地震などがないのに崩落するほど危険な斜面で、亀裂も発見しており、危険を認識して対策を取ることができたと主張した。

 管理会社の親会社、オリックスグループの担当者は「提訴があった事実が確認できていない」とした。(林瞬、土屋香乃子、神宮司実玲)