涙して絞り出す惨事ストレスも 自衛隊員の心と解除MT

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聞き手 編集委員・藤田直央
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 悲惨な災害現場へとたびたび派遣される自衛隊員にはメンタルヘルス対策が欠かせない。その原点は、2011年の東日本大震災にある。当時、防衛省で対策を練り、その後も幹部自衛官として災害派遣に対応してきた本松敬史・元陸将(58)に聞いた。

 ――東日本大震災が自衛隊の災害派遣においてメンタルヘルス対策の原点と言える重みを持つのは、どうしてでしょう。

 東日本大震災での災害派遣は自衛隊にとって未曽有のものでした。10万人を超える規模はもちろん、亡くなられた方の6割にあたる約9500人のご遺体の収容は阪神・淡路大震災の約8倍。隊員たちの想像を絶し、メンタル面でも大変厳しい状況でした。

 ご遺体を目の当たりにしながら生存者の救助を優先せざるをえず、また数多くのご遺体の収容から仮洗浄、仮埋葬までを担ったことは、ベテラン隊員にも初めての経験でした。そうした現場からの報告が刻々と防衛省陸上幕僚監部(陸幕)に届き、これまでにない組織的なメンタルヘルス対策が急務だと判断したのです。

拡大する写真・図版東日本大震災で身元不明の遺体を埋葬する陸上自衛官ら。ひつぎを納めるたびに敬礼をしていた=2011年4月、宮城県東松島市

 ――陸自は具体的にどんなことをしたのでしょう。

 ご遺体収容にあたっては、部隊ごとに「ミッションリハーサル」をしました。ご遺体を傷つけずに収容して敬意をもって丁重に仮埋葬する所作を予行して、隊員たちに心構えを持たせる。ご遺族が見守る中で、混乱して失礼な態度をとらないようにするためです。

インタビュー特集「東日本大震災を語る」はこちらから

東日本大震災から3月11日で10年となります。被災地の復興や支援、福島第1原発事故への対応など、様々な分野で思いを寄せる人たちにインタビューしました。 震災の経験は私たちに何を残したのでしょうか。

 2週間ほど活動し、疲労困憊(こんぱい)した隊員たちには「戦力回復(クールダウン)」を図りました。被災地から離れた山形、秋田、青森各県内の駐屯地で4、5日間過ごさせ、睡眠や入浴、生野菜をしっかりとらせた。においの染みついた服も洗濯しました。

 ――隊員たちが被災地で活動している間のメンタルヘルス対策は、どうしたのですか。

 「任務解除ミーティング(解…

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東日本大震災を語る

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