[PR]

 ブリンケン米国務長官と中国の楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員が6日(米国時間5日)、電話で協議した。米中の外交トップが協議するのはバイデン政権発足後初めて。ブリンケン氏が「インド太平洋地域の安定を脅かす中国の行動に責任を取らせる」と迫ったのに対し、楊氏も台湾や香港問題などで「いかなる干渉も許さない」と応酬。中国は新政権との間で歩み寄りの機会もうかがうが、厳しい姿勢を打ち出す米側との対立が際立った。

 米国務省によると、ブリンケン氏は、同盟国と協力してインド太平洋地域が共有する価値や利益を守るとし、「台湾海峡を含むインド太平洋地域の安定を脅かし、ルールに基づく国際社会のシステムを弱体化させる中国の行動に責任を取らせる」と伝えた。中国外務省によると、楊氏は「各国が守るべきは国連を核心とする国際システム、国際法を基礎とする国際秩序だ。少数の国々が言うところの『ルールに基づく国際秩序』ではない」と述べた。

 両氏は人権問題にも言及。米国務省によると、ブリンケン氏はウイグル族やチベット族、香港をめぐる問題を含め、米国は人権や民主主義のために立ち上がると強調。中国外務省によると、楊氏は「いずれも中国内政で、いかなる外部勢力の干渉も許さない」と反論。台湾について「中米関係における最も重要で敏感な問題だ」とし、米側に中台は不可分とする「一つの中国」原則を守るよう強く求めた。

 ミャンマーの軍事クーデターについて、ブリンケン氏が国際社会の非難に中国も加わるよう要求。楊氏は中国の立場を説明したうえで「国際社会が問題解決への良好な環境を作り出すべきだ」と語ったという。

 バイデン政権はトランプ前政権に劣らず、中国に厳しい姿勢で臨む構えを鮮明にしている。バイデン大統領は4日の外交演説で、中国を「最も重大な競争相手」と呼んで牽制(けんせい)した。

 一方の習近平(シーチンピン)指導部は米中関係の安定を目指して「衝突せず、対抗せず」の方針を打ち出し、党指導部で外交を担う楊氏が2日、公の場で自ら演説して米国に歩み寄りを促すシグナルを送った。だが、中国外交筋はブリンケン氏の発言も踏まえ、「バイデン政権は想像以上に強硬だ。関係改善は容易ではない」とみる。(ワシントン=大島隆、北京=冨名腰隆)