第3回母は言う「娘の借金を返すためには」弟は台湾へ向かった

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宋光祐=ベトナム中部フンチャック村、山本知佳

拡大する写真・図版「娘を助けてほしい」。日本にいるハンさんを心配する母親のフオンさん(右端)=2021年1月16日、ベトナム中部フンチャック村、宋光祐撮影

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 「こんなことになるのなら、日本になんて行かせるんじゃなかった」

 ベトナム中部クアンビン省。山あいにあるフンチャック村で暮らすフオンさん(45)は、後悔を募らせている。

 娘(22)は2020年3月、技能実習生として日本に渡った。「ここは本当にステキな場所だよ」。日本に着いてすぐに電話してきた娘の弾む声を、いまも覚えている。翌月になって静岡県焼津市の水産加工会社で働き始めてからも、毎日のように元気な連絡が届いていた。

 「仕事は8時間立ちっぱなし。でも、きつくはない」

 「生魚のパック詰めはやったことがないけど、そのうち慣れると思う」

 しかし、5月に入り、状況は一変した。

 電話をかけてもめったに出なくなった。かかってもこない。その状態が続いている。

 日本で新型コロナウイルスの感染が広がった時期とも重なった。

 まさか――。不安にかられたが、どうしようもなかった。

 今年1月半ば。記者はフンチャック村を訪ねた。

 技能実習生として来日したあるベトナム人女性が、名古屋市内のシェルターに身を寄せている。なぜ、実習先を離れることになったのか。送り出した家族はいま、何を思うのか。彼女の「失踪」を通じて、日本とベトナムで技能実習の現場に迫った。

 娘は、日本で実習生を受け入…

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