「こどもホスピス」を長野県内にも 設立シンポジウム
小児がんなどの重い病気がある子どもたちに、家族とゆっくり過ごせる場所「こどもホスピス」を設ける取り組みが、長野県内でも始まった。脳腫瘍(しゅよう)で子どもを亡くした父親らが「信州こどもホスピスプロジェクト」を立ち上げた。思いを知ってもらおうと、設立シンポジウムを6日、安曇野市で開いた。
立ち上げたのは、松本市の会社員白鳥信博さん(50)。昨年9月、長男佑樹さん(享年19)を脳腫瘍の一種、小児脳幹部グリオーマで失った。高校2年の2019年2月、体調を崩して闘病生活を送り、同市の信大付属病院のほか、仙台市内へも通院した。最期は自宅でみとることができたが、病院と自宅以外の場所があればと感じた。
白鳥さんは「職場の協力で環境には恵まれたが、住宅事情や家族構成から自宅で看病が難しい人もいる」と話す。小児から大人へ移る時期の支援の不十分さも訴えたいと思った。
安曇野市にある県立こども病院で、入通院する子どもに付き添う家族滞在用の施設「マザーハウス」を運営する一般社団法人「笑顔の花」代表理事の茅房栄美さんが賛同。こどもホスピスの候補地を同市内に見つけた。
設立シンポジウムは、「マザーハウス」からオンラインで配信し、同市職員らが聴いた。
その中で白鳥さんは「息子は亡くなる2日前にプラモデルを作っていた。静かないい時間を迎えるお手伝いをしたい」と話した。
東日本初のホスピスを横浜市に今秋開設する認定NPO法人「横浜こどもホスピスプロジェクト」の田川尚登代表理事(63)は、23年前に6歳の次女を亡くした。「家や家族だけでは看病に限界がある。ホスピスは子どもにとって家に帰ってきた空気感が大事」と指摘した。
県立こども病院の血液腫瘍科の坂下一夫部長(55)は「最後の療養場所を決める際には、本人や家族の希望の違いもあり、判断は難しい」と語った。
横浜市では市などの協力も得られたが、それでもホスピスの建設着工まで7年かかったという。白鳥さんは「施設についての細かい枠組みは決めずに、まずは賛同してもらう人を増やしていきたい」としている。
問い合わせは、白鳥さん(090・5516・0723)へ。(佐藤靖)
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