老朽UR団地を無印良品とリノベ 若者も住みたい部屋へ

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川本裕司
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 1960~70年代に建った大規模団地を多くもつ都市再生機構(UR)が「無印良品」のブランド名で知られる良品計画グループと団地の住宅改修(リノベーション)を始め、10年目を迎える。最初に手がけたのが大阪府内でだった。定着したリノベは住民の高齢化が進む団地に若い世代を呼び込む効果を生んでいる。

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 今年1月、URと良品計画の子会社MUJI HOUSEの新たなリノベ物件として、枚方市の香里ケ丘西団地の3戸が発表された。今月14日から申し込みを受け付ける。

 3戸が入る建物は、上から見ると星形になっている「スターハウス」だ。50~60年代にURの前身・日本住宅公団が建てた多くの団地で採用されたが、老朽化で建て替えが進み、現存しているものは少ない。

 スターハウスは構造的に外気にさらされる壁が多く、冬は室内の寒さが課題になる。このため、リノベでは断熱効果を高めることに重点を置いた。3戸とも広さ40平方メートル弱のワンルームで、明るく開放感ある室内に一新されている。

 高度成長期に建てられた団地は老朽化と住民の高齢化が共通の課題だ。対策を迫られていたUR西日本支社(大阪市)は、20~30代にファンが多い無印良品に着目した。

 広告会社の仲立ちで子会社(当時の社名はムジ・ネット)と手を結ぶことになり、2012年度、新千里西町(豊中市)、リバーサイドしろきた(大阪市都島区)、泉北茶山台二丁(堺市南区)の3団地でまず共同リノベに取り組んだ。

 MUJI側もそれまで、戸建てや民間マンションのリノベは手がけていたものの、団地は初めてだった。

 通常の畳は使わず、「壊しすぎず造りすぎず」をうたい文句に、リノベ後も入居者が手を入れやすくしているのが特色だ。評価は高く、13年度のグッドデザイン賞も受けた。

 20年度までに府内で実施した共同リノベは10団地で計359戸になる。全国の4割近くを占め、47都道府県で最多だ。

 堺市南区の泉北ニュータウンでは17年度から市とも連携してリノベを進めている。泉北桃山台一丁住宅では今年1月から3戸の受け付けを始めた。シラカバ材を使ったフローリングで、北欧風のイメージを打ち出している。より幅広い世代が利用しやすいよう、団地の集会所も改修した。

 集合住宅の環境を研究している岡絵理子・関西大教授(都市計画)は「無印良品が好きな世代をとらえたリノベは団地の空間に合ったといえる」と評価する。

 団地では人気が低い最上階を…

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