無届け公共工事なぜ多発? 広島、書類送検された職員も

北村浩貴、西晃奈、三宅梨紗子
[PR]

 土壌汚染を防ぐため、掘削などで土地の形質を変える際に必要な届け出をしないまま公共工事をしたケースが、広島県内の自治体で相次いで発覚した。2010年度以降で770件以上。土壌汚染の有無は確認中だが、広島市では職員が書類送検された。不手際が頻発した理由は何か。

     ◇

 県警は昨年11月、広島市発注の道路改良工事などで土壌汚染対策法(土対法)が定める事前の届け出をしなかった疑いで、市職員を広島地検に書類送検した。

 改正土対法が施行された10年以降、掘削や盛り土などで土地の形質変更が3千平方メートルを超える場合、30日前までに知事(広島、福山、呉市は市長)への届け出が必要となった。違反すれば3カ月以下の懲役や30万円以下の罰金が科せられる。

 広島市や関係者によると、県警は当時の課長級を含む工事に関わる職員ら17人から事情聴取して十数人を書類送検し、地検は「情状全般を考慮した」として全員を不起訴(起訴猶予)にした。

 聴取の対象となった安佐南区地域整備課の小林靖課長は「法令違反は事実。現在は対象工事をリスト化し、漏れがないよう業務にあたっている」と話した。

 広島市では18、19年度に無届けが36件あった。一つの工事だけで3千平方メートルを超えないものも含まれる。国の通知では、年度や場所が違っても同一の事業なら合算することが望ましいとされる。環境省の担当者は「土壌汚染調査の機会をできる限り広くとらえる」と趣旨を説明する。

 土対法を巡っては19年4月に国が各都道府県に注意喚起。島根県は同年中に調査結果を公表した。広島市の事態を受けて、国は昨年11月10日付けで「再注意喚起」を全国に通知した。

 広島県内の他の自治体はその後、次々と調査結果を公表し、陳謝した。県262件、東広島市72件、庄原市57件など、調査中の1町を除き、すべての市町で無届けが判明した。

 こうしたミスが全県的に起きたのはなぜか。「環境部への相談が不十分だった」(福山市)▽「年度ごとの工事面積が3千平方メートル未満だと対象にならないと誤って認識していた」(庄原市)▽「災害復旧工事は該当しないと誤解した」(呉市)――など、法律の認識や組織内の連携が不足していたことが浮かんだ。

 届け出がされていた工事もあり、担当者の理解不足の指摘もあった。ある自治体幹部は「時代に合わせて色々な法改正が早くなっている。知識を高めなければ」と自戒を込めて話した。

 県は昨年末、必要に応じて届け出の再提出などを求める通知を各市町に出した。県発注の公共事業でも再調査の必要があるか、確認を進めている。県環境保全課の河村敏成課長は「県として反省するしかない。二度とおこらないように対応している」と話した。(北村浩貴、西晃奈、三宅梨紗子)