奇跡の子牛、在りし日の姿再現 「コロナ禍でも希望を」

中村通子
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 「奇跡の子牛」として親しまれ、昨年1月に人間で言えば100歳超の大往生を遂げた黒毛の雄牛「元気くん」(享年21)の在りし日の姿が、よみがえった。岡山県勝央町の「おかやまファーマーズ・マーケット ノースヴィレッジ」で6日、実物大のブロンズ像が除幕され、集まった人たちは若々しい姿の「元気くん」を笑顔で眺め、記念撮影を楽しんだ。

 元気くんは1998年、津山市の牧場で生まれた。生後6カ月となった同年10月、台風10号で吉井川が氾濫(はんらん)。濁流にのまれた。生存は絶望視されていたが、翌日、約90キロ離れた瀬戸内市沖の黄島で見つかった。

 奇跡の生還から1カ月後に牧場からノースヴィレッジに寄贈され「元気くん」と名付けられた。以来21年間、勝央町のシンボルとして愛され続けてきた。

 この姿を未来につなげようと、勝央町はブロンズ像建立を計画し、製作費約730万円を、昨年4月からクラウドファンディングなどで募った。だが、コロナ禍のあおりで苦戦。募集期間を3カ月延ばし、町のホームページなどで広く呼びかけ、最終的に目標額を超える約850万円が集まった。

 園内の高台に設置された元気くんの像は、奇跡の生還を果たした生後6カ月の姿を実物大で再現。黄島の岩場に力強く立ち、希望に満ちたまなざしで空を見つめる。この視線の先には、実際の黄島があるという。

 この日の除幕式で、水嶋淳治町長は「コロナ禍の今、つらく苦しい状況が続いているが、あきらめず頑張れば希望が見える。このことを元気くんが教えてくれた。町を一望できるこの場所から応援してくれると思う」と話し、集まった町の子どもたちと一緒に像を覆う幕を外した。

 またこの日、元気くんの遺品と、絵や書、紙芝居、ロボットなどを展示する資料館もオープン。隅には絵馬掛け場もある。大災害を生き延びた奇跡と、超長寿にあやかりたいと、訪れた人たちは「自分の足でどこまでも歩けますように」「元気くんの力でコロナをやっつけて」など、思い思いの願いを書いた絵馬をかけていた。(中村通子)