豪州の国歌変えたけれど…先住民の子、死亡率2倍の現実
オーストラリアが1月1日、国歌の歌詞の一部を変えた。先住民(アボリジナルピープル)の歴史や文化を敬う象徴的な意味が込められ、世論も好意的だ。でも、なぜ今になって?(シドニー=小暮哲夫)
シドニーで1月7日、人気スポーツのクリケットの豪州代表がインド代表と対戦した。試合前に国歌を歌ったのは、ミュージカル俳優のステファニー・ジョーンズさん(27)。「間違えないように直前に何度も練習した」という部分は、冒頭にすぐ、やってきた。
拡大するクリケットの代表試合前、新しく変わったばかりの歌詞で国歌を歌うステファニー・ジョーンズさん=1月7日、シドニー、本人提供
「We are one and free」(私たちは一つで自由だ)。歌詞の1番の2行目で、昨年末までは「We are young and free」(私たちは若くて自由だ)だったところだ。
国歌をここで歌うことは昨年11月に決まっていたが、歌詞の変更は元日の政府発表まで知らなかった。新しい歌詞を披露する最初の大きなイベントとなり、「本当に名誉だ。先住民の文化の大切さを認めて、国民の団結を示すから」。
先住民の言葉で歌う試みも
英国王を元首とする豪州は1901年の豪連邦成立以来、英国の国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」を国歌としてきたが、1984年にいまの国歌「アドバンス・オーストラリア・フェア」に変えた。
ただその歌詞は、1788年の英国の入植開始以降の歴史を反映した内容で、6万5千年以上前から住む先住民の多くの人々にとって、特に「若い国」という表現は受け入れがたいものだった。
歌詞を変えよう、という運動…
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