コロナ対応959億円 新年度予算、震災対応は過去最少

御船紗子
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 岩手県は8日、2021年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は8105億円で、20年度と比べて1218億円(13・1%)の減少。新型コロナウイルス対応分に959億円を計上したほか、震災対応分に667億円を計上、初めて1千億円を切った。

 「コロナ対策を徹底し、感染リスクの低さをより確かにする。それが岩手で暮らそうということにつながっていく」。達増拓也知事は記者会見で、コロナ対策を全面的に押し出す方針を示した。現在確保している感染者用の病床250床の維持と、感染が拡大した場合に最大350床まで増やすための経費に134億円を計上。医療機関でのPCR検査や受診・相談センター運営に12億円、軽症者用の宿泊療養施設に10億円を付ける。

 コロナに伴う新規事業として、認定こども園の施設整備や遠隔教育ネットワーク構築、介護施設での感染防止対策などに事業費を盛り込んだ。

 コロナ以外の新規事業では、農業高度化事業に6億6400万円、地域の福祉課題に取り組む態勢の整備に3千万円を計上するなど農林水産業や県民の健康促進に取り組む。通常分の総額は7437億円で、20年度から726億円(10・8%)増。震災後最大の規模となっている。

 11年目に入る震災対応分は667億円で、20年度から1945億円(74・4%)の減額。15年度の4487億円をピークに6年連続で減り続けている。河川などの復旧事業費33億7600万円(前年度比121億7200万円減)、港湾の復旧事業費13億4300万円(同39億600万円減)など、インフラ整備費を大幅に減額。達増知事は「それだけ(復興工事が)完了したということ」と説明する。

 一方、新規事業として、恒久的な住まいに移っても金銭面や生活設計に不安が残る被災者を支援するセンターの設置に4千万円、沿岸で起業する人への支援に1100万円、水産加工と福祉が連携するためのアドバイザー派遣に50万円を計上する。

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 県税収入はコロナ禍の影響で個人県民税、法人事業税ともに減少し、1217億円で前年度比97億円(7・4%)減となった。震災のあった11年度(1004億円)以降は緩やかな増加傾向にあったが、18年度から減少している。

 県の借金である県債の発行予定額は780億円。コロナ禍による国税収入減に伴って国が将来的に返済を肩代わりする臨時財政対策債が増加したため、前年度比79億円(11・3%)増となった。

 県の貯金にあたる財政調整基金は57億円を取り崩した。同基金の年度末残高は133億円で、同24億円(15・3%)減となる見込み。年度末残高は11年度の387億円から増減を繰り返し、19年度から100億円台で推移している。

 財政健全化の指標となる基礎的財政収支プライマリーバランス)は県債の元金償還額から新規発行額を引いたもの。21年度は71億円で、11年連続黒字。予算案は17日に開会する県議会で提案される。(御船紗子)