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 【東京】7日に投開票された西東京市長選は、自民、公明が推薦する前副市長の池沢隆史氏(61)が3万4299票を得て初当選を決めた。しかし、野党などが推薦した前神奈川県逗子市長の平井竜一氏(54)との差は、1514票。市と縁もゆかりもなかった候補と自公推薦候補が接戦となった背景には何があったのか。

 開票が長引き、重苦しい雰囲気に包まれていた池沢陣営の選挙事務所の空気が一変したのは、7日午後11時前。テレビで池沢氏当選の速報が流れると、歓声と拍手に包まれた。

 ただ、池沢氏は感謝の言葉を述べた後も神妙な面持ちを崩さず、「相当厳しい選挙で、逆転されるのではと思っていた」と語った。

 市政の継続と安定を掲げたが、選挙活動中に「自公推薦ですか?」と、批判めいた声をたびたび向けられたという。緊急事態宣言下の深夜に、自民党と公明党の衆院議員が銀座のクラブを訪れていた騒動が響いたとみる。支持者の1人は「国政のことがなければ、楽に勝てた選挙だ。とばっちりだ」とぼやいた。

 敗れた平井陣営は、無所属に加え、立憲民主、共産、西東京・生活者ネットワークの市議12人が支える「野党統一候補」として、国政選挙を占う構図で戦った。逗子市長12年の手腕を見込んで平井氏に出馬を頼み込み、「ヘッドハンティングしてきた」と街頭で訴えた。

 池沢陣営は、逗子市長として市民サービス削減を伴う財政改革を実行し、「都市経営に失敗した」と街頭などで説明。選挙戦終盤には「逗子での失敗のリベンジは逗子でやってください」などと書いた法定ビラが配られたが、平井氏を支持する自営業男性(53)は「焦りがあったのか。ビラをみて反感を抱いた人もおり、投票率が10ポイント近く上がった要因にもなったのではないか」と話した。

 選挙事務所で敗戦の弁を述べた平井氏は「外部から候補者擁立という初めてと言っていい挑戦だったが、ちょっと時間的に足りなかった」と敗因を述べた。支援した市議の一人も、「私たちが平井さんを連れてきた理由を丁寧に説明するとわかってくれる人は少なくなかった。もう少し時間があれば」と悔やんだ。(平山亜理、千葉雄高、井上恵一朗)

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 「情勢としては負けてもおかしくなかった。一安心だ」。自公推薦の池沢氏の当選に、自民都連の関係者は胸をなで下ろした。

 1週間前。西東京市長選が告示された1月31日に開票結果が出た千代田区長選では、小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」推薦の前都議が初当選。優勢とみられていた自公推薦候補が敗れ、5カ月後に迫る7月4日の都議選への危機感が都連内に広がっていた。

 ある都議は「連敗していれば、『都議選はどうなんだ』という雰囲気になったろう。僅差(きんさ)だったが、今回の結果で踏みとどまれたのかなとは思う」。年明け以降、政権の支持率は低迷している。「西東京市長選でも影響はあったと思う。逆風はやんでいない。この5カ月でいかに信頼を取り戻せるか、だ」(長野佑介)

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