「とんでもない」東電、規制庁に批判 原発不正入室問題

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 【新潟】東京電力柏崎刈羽原発で起きた社員による中央制御室への不正入室問題。複数の警備員が違和感を感じたがそれ以上の確認をせず、本人も同僚の氏名を名乗っていた。「信用を根底から揺るがす」「とんでもない事態だ」。県内から東電への厳しい声が相次ぐとともに、情報を原子力規制委員会にすぐに上げなかった規制庁にも批判が出た。

 8日、規制委の非公開の臨時会議で問題の概要や重要度を議論。「安全確保に影響がある」と評価し、東電への追加検査を決めた。

 規制庁によると、昨年9月20日、東電社員は自分のロッカーに保管していたIDカードが見つからず、非番の同僚のロッカーから無断でカードを持ち出した。防護区域周辺への出入り口では、警備員がカードを見比べて疑念を抱いたが、止めることなく入れた。さらに区域に入る際に、認証でエラーが出て、別の警備員が顔写真との違いに気づいたが、それ以上確認しなかった。警備員から声をかけられた際には、社員は同僚を名乗ったという。

 社員は勤務を終えた同夜、ロッカーの奥に落ちていた自分のカードを発見。不正使用した同僚のカードをロッカーに戻した。翌21日、同僚社員がカードを使ったところ、登録情報が上書きされていたため、エラーが発生、不正入室が発覚したという。東電によると、社員は20代男性で、原発での勤務経験は6年という。

 自民県連幹部の県議は「他人を名乗って入るのはあきれ果てる。信用を根底から揺るがす」とし、「考えられないことが起きているのに、東電も規制庁も『大したことない』というのでは困る」。別の自民県議も地元住民から今回の事案について「とんでもない」と話が上がっているとし「我々もきちっと正さないとならない」と話した。

 県幹部は「あり得ない話だ。もうおわびはしなくていいので、行動で示してほしい」と注文をつけた。

 柏崎刈羽原発の再稼働に反対する重川隆広県議は東電の組織管理を疑問視する。「原発をもつ東電には高い危機管理が求められる。だが初歩的な運営さえできていないことが露呈した。組織としての資質を欠いている」と述べた。

 批判の矛先は、規制庁の対応にも向けられた。

 5日に記者会見を開き、「機能不全に陥っている」と規制当局を批判した中山均新潟市議は「安全上とんでもない事態だ。原子力を扱う企業としてありえない」と東電を批判。そのうえで、規制庁への報告直後に規制委が東電の原発を動かす「適格性」を認めたことについて、「分かった時点で報告すべきだ。判断の撤回を検討してもらいたい」と語った。

 柏崎市議会運営委員会で5日規制庁による説明を求めた飯塚寿之柏崎市議は「保安規定の審査を差し戻すべきだ」と主張する。「東電からの報告を保安規定を審議する規制委に上げなかった規制庁の不作為の罪が大きい」と述べた。飯塚氏は「保安規定の認可を前提に進んでいる東電の検査や説明会など、再稼働に向けたスケジュールは意味がなくなる」と語った。

 池田千賀子県議は「規制庁がすぐに規制委に報告しなかったのが一番の問題。保安規定の了承前に不正入室の事実関係を規制委に報告していれば判断にも影響したはずだ」と指摘する。

 「地域の会」の委員を務める竹内英子さんは「今回の問題を四つのランクの下から2番目と評価する規制庁は、原子力発電所の規制を行う適格性がないと思う」と語った。「東京電力に原発を運転する適格性はないが、規制庁もいったん解体して、規制のあり方を考え直した方が良いのではないか」と述べた。