新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2度目の緊急事態宣言のきっかけになったのは、経済再生相の西村康稔と首都圏4知事の1月2日の会談だった。3時間に及んだ非公開の会談で、どんなやりとりがあったのか。これまで明らかにならなかった詳細が、複数の関係者への取材でわかった。西村と知事たちの間で交わされた激論。その舞台裏を報告する。(敬称略)
プレミアムA「医療危機 コロナ 東京100days」
新型コロナウィルスの第3波が猛威を振るっています。特集ページでは、緊急事態宣言が延長された2月7日までの100日間について、感染者数の変遷と政治家らの発言を重ね合わせたビジュアルをご覧いただけます。ページの最後には特集動画もあります。東京100daysシリーズの第3部です。
会談は年末年始の急激な感染拡大を受けて東京都知事の小池百合子が呼びかけ、神奈川、千葉、埼玉3県の知事も同席した。面会後、西村と4知事は並んで取材に応じ、コロナ対策で国と自治体が足並みをそろえる「ワンボイス」(一つの声)をアピールした。
知事らは速やかに宣言を出すよう求め、政府は検討する。一方、政府からも飲食店などの閉店時間繰り上げなどを4都県に要請する――。そんな内容だった。
2日後の1月4日。首相の菅義偉は年頭会見で「非常に厳しい状況」と述べ、4都県への緊急事態宣言を検討すると表明。13日には、対象地域を11都府県に広げると発表した。
菅は13日の会見で、大みそかに東京都の感染者が1300人を超えたことを挙げ、「この数字を見て、より強力な措置が避けられないと考えた」と述べ、宣言は自らの判断だったことを強調した。
だが、出席者の一人は取材にこう明かす。「政府は当初、早期の宣言には否定的だった。あの会談で方針を切り替えたように映った」。その会談で「宣言は最後のカード」と強調する西村に対し、小池が繰り返したのが「政治決断」という言葉だった。
三が日で例年なら閑散としている東京・霞が関。中央合同庁舎8号館の一室に2日午後、西村と政府のコロナ担当幹部、4知事、それぞれの随行職員ら20人ほどが大きなテーブルを囲んで、顔をつきあわせた。
二度目の緊急事態宣言の舞台裏を追う6回の連載です。初回は小池氏ら4知事と西村氏の非公開の会談で繰り広げられたやりとりを明らかにします。
複数の出席者の話を総合する…