緊急事態宣言下でも首都圏の感染者数は高止まりし、政府は10都府県を対象に宣言延長を決めた。その際、東京都が示した対策からは、途中過程で浮上したある強力な措置が消えていた。(敬称略)
二度目の緊急事態宣言の舞台裏を追う全6回の連載です。宣言延長の直前まで、さらに強い措置をとることが検討されていました。
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が出て、3週間ほど過ぎた1月下旬。「2月1日以降の対応」と題された内部資料が東京都幹部に配られた。2月7日に期限を迎える宣言が延長された際の方針案として、こう記されていた。
「施設の休業要請なども含めた人流抑制策を強化する」
休業要請は昨春の前回宣言時に実施されたが、経済への影響が大きいとして、今回の宣言では見送られていた。実施の前提として、資料には都内の感染者数(1週間平均)が1千人程度で高止まりしている状況などの記載があった。
都内の感染者数(同)は年明けにさらに増加ペースを上げ、1月11日には1813人まで跳ね上がっていた。その後は減少傾向に転じたが、27日まで1千人を上回る状態が続いていた。
「昼間の人出も残念ながら前回(の緊急事態宣言)と比べるとさほど減っていない。ぜひとも皆さん、ステイホームで」
3連休中日の1月10日、東京都知事の小池百合子は、記者団を通じて訴えた。翌11日には、多くの若者が集まる恐れがある成人の日を控えていた。
小池の懸念を裏付けるデータがあった。
都の関係機関が16日までの…