かつて、多くの学校に二宮金次郎の像がありました。なぜ薪を背負いながら本を読むモチーフが同じなのか。誰が、いつ、何の目的で立てたのか。そもそも、金次郎とは何をした人なのか。生誕の地、神奈川県小田原市を歩いて探りました。(文・斎藤健一郎 写真・伊藤進之介)
探るための第一歩は刻苦勉励の追体験だと、薪代わりの本とパソコンを背負い、金次郎の生誕地、神奈川県小田原市に保存される生家を出たのは午前11時のことだった。
雪を頂いた富士山を遠くに見ながら急いで歩を進めるが、1時間たってもまだ、金次郎がしばを刈ったという南足柄市矢佐芝(やさしば)地区の山間地にたどり着かない。あの背中の薪やしばは近くの山で集めたものとばかり思っていたが間違いだった。生家は酒匂(さかわ)川沿いの栢山(かやま)地区、田んぼの広がる足柄平野のど真ん中だった。
田を横切り、いくつもの川を渡り、ようやく山に入った。北風の強い冬の日だったが、急ぎのぼる額から背中から汗が流れる。
1時間半歩いた末に、金次郎…
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