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 コロナ禍で、ボートレース(競艇)やオートレース、競輪など山口県内の公営ギャンブルの売り上げが伸びている。感染拡大防止のために一時は無観客での開催となったが、過去最高の売り上げとなったところも。ただ、依存症につながる懸念もあり、専門家は自らできる対策などを呼びかけている。

 ボートレース下関(同県下関市)では、昨年2月末から6月下旬まで無観客開催となったが、同年12月末時点での今年度の売り上げは930億5千万円。前年同月比で約1・6倍になった。

 下関市ボートレース事業課によると、売り上げのうち83%はインターネットによる投票。その割合は前年同月の63%を上回った。市は市議会6月定例会で、一般会計にボートレースの収益分5億円を繰り入れ、新型コロナ対策の事業に充てた。

 市の担当者は「家にいながらレースを見ることも、舟券を買うこともできる。コロナでほかの娯楽が制限されるなか、多くの人に興味をもってもらえたのではないか」と推測する。

 ボートレース徳山(同県周南市)でも、2月末から6月初旬まで無観客開催となったが、今年1月18日までに643億7264万円を売り上げ、年度末まで2カ月半ほどを残して昨年度の売上高(641億8629万円)を超え、過去最高を更新した。昨年12月末時点でネット投票の割合は全体の84%を占めた。

 山陽オート(同県山陽小野田市)では、売り上げが昨年11月末時点で、前年同月比69%増の117億6千万円。防府競輪(同県防府市)は昨年12月末時点で、同17%増の137億9千万円だった。

 全国モーターボート競走施行者競技会(東京都)によると、全国の24カ所のボートレース場の売り上げは12月末時点で1兆5205億7千万円で、前年同月比30%増だった。売り上げに占めるネット投票の割合は、12月末時点で77%と、前年同月時点の58%から大きく伸びている。

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 手軽に利用できるネット投票の普及が、依存症につながる懸念もある。

 山口市内でギャンブル依存症の自助団体代表を務める男性(54)は「現金を実際に動かしているという実感が湧きにくく、ゲーム感覚になる」と指摘する。この団体に相談に訪れた人の中には破産した人もいるといい、「ネット投票が増え、依存症が発覚しにくくなった。スマホさえあれば、いつでもどこでも決済ができるので、依存を断ち切るのも難しい。運営側が投資金額の上限を設ける、といった対策が必要ではないか」と話す。

 依存症をはじめ各種メンタルヘルスに関する相談を受け付ける県精神保健福祉センター(山口市)には、ギャンブル依存について年間60~80件ほどの相談が寄せられる。コロナ禍でも相談件数自体は大きく変わらないが、センターの大空剛信主査は相談窓口までたどりつかない人が多くいるとみている。

 大空主査は「どのくらいの時間、金額を費やしているのかをメモすることで、自分を客観視できるようになる。自分がのめり込んでいると思ったら、遠慮なく相談してほしい」と呼びかけている。(藤牧幸一)

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 山口県内の主な相談窓口

 心の健康電話相談(083・901・1556)平日午前9時~11時半、午後1時~4時半

 県精神保健福祉センター(083・902・2672)平日午前8時半~午後5時15分

 ギャンブル依存症の当事者団体「GA山口グループ」(090・1680・3683)平日午前9時~午後5時

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