えひめ丸事故から20年 在校生ら追悼式で慰霊碑に花

藤家秀一
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 愛媛県宇和島水産高校(同県宇和島市)の実習船えひめ丸がハワイ沖で米国の原子力潜水艦に衝突されて沈没し、生徒ら9人が亡くなった事故から、10日で20年を迎えた。同校では同日、「えひめ丸事故追想の日」式典があり、遺族や生存者、在校生ら265人が犠牲者を悼み、海の安全を祈った。

 事故が起きた午前8時43分。海に沈んだえひめ丸から引き揚げた鐘が犠牲者の数と同じ9回鳴らされ、遺族や全校生徒、教職員らが黙禱(もくとう)した。

 武智誠治校長が9人全員の名前を一人ひとり読み上げ、「あれから20年を迎えますが、この長い歳月をもってしても、志半ばで命を奪われた方々の無念、最愛の肉親を奪われたご家族の心中、生還された方々の精神的・肉体的苦痛を思う時、この事故に対する大きな憤りと深い悲しみは決して癒えることはない。この事故を風化させてはならないという気持ちを改めて強くする」と追悼の言葉を述べた。生徒らは慰霊碑に花を手向け、犠牲者をしのんだ。

 2年の福本尚健(しょうけん)さん(17)は「20年前に亡くなった9人を思って花を置きました。全国の人にえひめ丸事故を知ってもらい、後輩にも引き継いでもらいたい。事故の原因が潜水艦の確認不足だったと聞き、怒りを覚えた。海の安全のためにルールを守ることが大事だと思う」と話した。

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、ハワイでの大規模な慰霊行事は取りやめになり、ハワイ日米協会など現地の関係者らが少人数で慰霊式を催した。(藤家秀一)

えひめ丸事故

 えひめ丸事故 2001年2月10日午前8時43分(現地時間9日午後1時43分)、ハワイ・オアフ島沖で、愛媛県宇和島水産高校の漁業実習船えひめ丸と、急浮上した米原子力潜水艦グリーンビルが衝突。えひめ丸は沈没し、乗員35人のうち、実習生4人、指導教官2人、乗組員3人の計9人が犠牲になった。

 事故の責任を問われたグリーンビルの艦長は海軍の懲戒処分を受け、除隊。05年10月、米国家運輸安全委員会は、元艦長と乗組員らの意思疎通不足と、元艦長による緊急浮上訓練の指示が事故原因と断定する報告書を発表した。