第2回サブプライム彷彿させる錬金術 アント急成長の手法とは

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北京=西山明宏
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岐路に立つアリババ(中)

 「馬雲(ジャック・マー)を称賛する人がいますが、これを聞いても支持できますか」。昨年10月、アリババ集団傘下の金融会社、アント・グループの世界過去最高額となるはずだった新規株式上場が延期される直前。インターネット上に一人の中国人女性が動画を投稿した。ハンドルネームは「珍大戸」。MBA(経営学修士)の資格を持ち、証券会社で働いた経験から、金融分野に関する動画をいくつも投稿している。マーやアントを批判するこの動画は、今年1月までに700万回近く再生されるなど注目された。

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アント・グループの「錬金術」を批判する動画を投稿した女性=動画サイト「ビリビリ」から

 女性は2013年に金融業界にいた頃、自身も関わったことがあるとしてアントの「錬金術」を説明した。アリペイのローン事業を通じて利用者に融資した後、その債権をまとめて証券化。「資産担保証券」(ABS)として投資家に売り、そこで得た全額をさらに利用者に融資する。得た債権を再び証券化する――。08年のリーマン・ショックで、信用力の低い人向けに高い金利で貸し出す「サブプライムローン」の債権を証券化していたことを彷彿(ほうふつ)とさせる方法だ。

 アントの少額ローンの関連会社がある重慶市の黄奇帆元市長の著書によると、この方法でアントは30億元(約480億円)だった元手を100倍の3千億元(4・8兆円)超にまで膨らませた。融資で高い利息を得つつ、債権が焦げ付くリスクは証券化した商品を買った投資家が負う。珍大戸は「高い利益を得ながら、リスクは社会にばらまいてきた」と批判する。

 17年、少ない元手を債権の…

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