始まりは北の大地 コロナ第3波、経済再生の矢先に…

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 2020年10月31日。東京都が毎晩開いている新型コロナウイルスに関する説明会で、記者から感染者数の推移に関する質問が出た。10月の累計感染者数は約5300人。9月の約4900人から微増したことをどう見るかを問う内容だった。

 「ちょっとコメントしづらい」と前置きした都の担当者は、こう言葉を濁した。「いずれにせよ、少ない数で推移しているとは言い切れない」

 「第2波」が襲った8月に最多で472人(1日)まで増えた都内の感染者数は9月以降、平均で百数十人規模で推移していた。大きく減りはしなかったものの、しばらくは落ち着いている状況だった。

 ただ、冬の気配を感じ始めていた北海道では、感染が急速に拡大していた。10月31日の感染者数は都内が215人と第2波ピーク時の半分以下にとどまったのに対し、北海道は81人と2日連続で過去最多を更新。札幌市の繁華街、ススキノ地区ではクラスター(感染者集団)が相次いでいた。

 それでも政府や都は、翌年に延期された東京五輪パラリンピックに向けた準備を本格化させる。政府は11月1日から、海外出張する日本人らについて、帰国後の2週間待機を免除。菅義偉首相は9月の政権発足以降、経済再生に向けた動きを本格化させていた。各地の繁華街にも、人の流れが戻りつつあった。

 だが、にぎわいを取り戻した街を横目に、医療現場は危機感を強めていた。

 「現場の病院は疲れ果て、メンタルがやられる職員が出てきている」

 都医師会の尾崎治夫会長は11月2日、面会した小池百合子知事にそう訴えた。

 都内の新型コロナの入院患者は7月24日に再び1千人を超えて以来、3カ月にわたって1千人程度で高止まり状態が続き、医療現場はすでに疲弊していた。

 冬の訪れが近づき、都の担当者も「感染が疑われる患者が増えれば、医療現場は追いつめられていく恐れがある」と心配していた。

 そして、「第3波」が姿を見せ始めた。