第3回研究現場に戻った地震学者 「空振り」生かせる社会に

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聞き手・藤波優
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 確度の高い地震予知は、今は難しい。でも、大まかな場所や規模、頻度などの予測をすることはできる。こうした不確かさを含む情報を被害の軽減につなげるには、どうしたらいいのか。震災を機に、地震学と防災について考え続ける福島洋・東北大准教授は「空振り」を許容し、備えに活用していけたらと話しています。

福島洋さん 東北大准教授

 東日本大震災の後、地震学者には厳しい目が向けられました。予知をやると言って研究費をもらいながら興味のある研究をやっているだけだ、という批判もありました。

 私自身、東北でこれほど大きな地震が起こるなんて考えたこともなかったので、震災が起きたときはぼうぜんとしました。なぜ東北でマグニチュード(M)9の地震が起きると気がつかなかったのか、これほどの大災害になってしまい、自分が何も貢献できなかったことが悔しかった。

 当時の地震学は、予知の実用化はかなり遠いと感じつつ、看板をおろさなかった。背伸びをして、誤解を生み、その誤解を積極的に解こうとしてこなかった。国民の理解を得て研究を続けるには、謙虚に現状を認識し、等身大の地震学で再出発する必要がありました。

 震災を機に、これまで防災にあまり関心を持っていなかった多くの地震学者も、災害科学としての地震学を意識するようになりました。防災教育や社会心理学など他分野との研究会や、地震学者同士で防災施策や社会的課題を議論する機会が増え、いい方向に進んできていると感じます。

 学問としても、海底での観測なども進み、予知がなぜ難しいのか、わかってきました。地震はすごく多様で複雑な現象ですが、どう多様で、どう複雑なのか整理されてきました。

 私も、科学的好奇心から地震研究をしていましたが、震災後、どうしたら被害を減らせるか、人の役に立つことをしたいとモチベーションが変わりました。それは同時に、研究者を続けるか悩んだ理由でもあります。

 2014年に一度は研究を離…

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