遺体解剖は適切だったか ハンセン病療養所、実態調査へ

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田辺拓也
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 岡山県瀬戸内市国立ハンセン病療養所・邑久(おく)光明園(こうみょうえん)は、少なくとも1938年の開園時から98年まで、死亡した入所者の遺体が園内で解剖されていたと明らかにした。遺体の数や解剖の目的、同意が適切にとられていたのかなどが詳しく分かっておらず、資料の調査や関係者の聞き取りなどを今月から順次始める。

 熊本県合志(こうし)市の国立療養所・菊池恵楓(けいふう)園では半世紀以上、死亡した入所者のうち少なくとも389人が解剖されていたと園が昨年発表。入所時などに一律に「解剖願」(同意書)を取っており、報告書は「人権を軽視していたとのそしりは免れない」と指摘した。これを受け、光明園でも入所者や弁護士ら12人でつくる人権擁護委員会が調査することが決まった。

 1月末に会合があり、青木美憲(よしのり)園長が開園時から、らい予防法廃止後の98年まで、解剖が行われていたことを示す資料が園にあったと説明。さらに解剖への同意書や、年代ごとの解剖者名が記録されている台帳もあったという。

 光明園を巡っては2005年、解剖によって保存された臓器など820の検体と、胎児の標本49体の存在が厚労省の第三者機関の調査で判明。1980年代までの入所者死亡者数と、標本数を照らし合わせると90%以上が解剖対象で、第三者機関は「解剖は完全にルーチン化」されていたと指摘した。

 人権擁護委の調査は解剖目的も焦点となる。1949年公布の死体解剖保存法は、解剖について「医学の教育又は研究に資することを目的とする」と規定。委員長の近藤剛(つよし)弁護士は「遺体の扱いも含め、実態を明らかにしたい」と話す。

 調査は当時解剖に立ち会った医師や検査技師、入所者や元職員らを対象に、全体像の把握▽人権への配慮があったか▽解剖が適切だったか――などを明らかにする。青木園長は「同意を得る過程で、十分な説明があったか疑問が残る。同じことを繰り返さないためにも、実態を明らかにし、入所者の名誉回復をはかりたい」と話した。

 光明園の入所者自治会長の屋(おく)猛司さん(79)は調査に対し「入所者に多くの時間は残されていない。正確な検証結果を後世に残して欲しい」と期待を寄せた。

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 近藤剛弁護士には忘れられない光景がある。

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