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 広島県は10日、2021年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は1兆938億4千万円で、3年連続で1兆円を超えた。新型コロナウイルスの影響で税収が大幅に減り、県の貯金に当たる財政調整基金がはじめてゼロになる見通しになった。県財政は厳しい状況に追い込まれている。(松島研人、東谷晃平、北村浩貴)

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 「厳しい財政状況だが、10年後、30年後を見据え、チャレンジ精神を持って取り組みを進めていく」。湯崎英彦知事は10日の記者会見でこう述べた。

 一般会計は前年度当初より33億円の増加。歳出では新型コロナの対策費が452億円を占めた。企業などの事業継続や雇用維持への対応、医療体制の確保などに多くの予算を投じる。

 18年の西日本豪雨を受けた減災対策にも引き続き取り組む。防災意識を高めるため災害時に自分や家族がどう行動するかを事前に決める「ひろしまマイ・タイムライン」を普及させるため、県内の希望する小学校に指導推進員を派遣する。

 一方、歳入の約3割を占める県税収入は、企業の業績悪化で法人2税(法人県民税と法人事業税)が大幅に落ち込み、前年度比で271億円(8・0%)減る見込みだ。県の借金に当たる県債の残高は2兆4617億円にまで膨らむ見通しで、数値が低いほど財政に余裕があることを示す経常収支比率は94・7%を見込む。湯崎知事は「財政状況を改善させるためにも、一日も早くコロナの感染を安定的に抑え込む必要がある」と述べた。

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 一方、広島最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の保存や安全対策にかかる事業費の計上は見送った。

 県は19年12月、所有する全3棟のうち1棟を外観保存、2棟を解体する方針案を示したが、その後、建物の強度が17年度の前回調査時の想定よりも高く、耐震化のコストが大幅に減ることが判明した。湯崎知事は「国や広島市にも当事者の立場で議論に加わってもらい、最終的な方向性を整理したい」と述べた。

 また、広島市中区の中央公園広場に建設予定の新サッカースタジアムについても「(広島市から)具体的な案が出ていない以上判断できない」として当初予算案には盛り込まなかった。

主な新規事業

《平和》

◆国際平和拠点ひろしま構想推進事業(2億220万円)

 「ひろしま国際平和創造センター」(仮称)を開設。センターが採用する外部人材や県職員を核兵器禁止条約の締約国会議などに派遣してロビー活動を行う。

《農林水産業》

◆カキ養殖におけるデジタル技術の活用(2千万円)

 漁場に水温センサーを設置し、収穫時期を予測してカキの安定生産をめざす。

《教育》

◆中山間地域の高校に遠隔教育を推進(4380万円)

 デジタル技術を活用して中山間地域の小規模校と都市部の大規模校を結び、授業配信などに取り組む。3地域で各4校(中山間3校、都市部1校)をモデル校に指定。

《経済》

◆企業立地促進助成制度(66億4510万円)

 従業員500人以上の事業所の休止や閉鎖が公表された場合、子会社や関係企業が県内で新たに生産拠点を建てる費用などを1億円を上限に助成する。日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(呉市)の取引先企業の利用を想定。

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