ネット使いこなす思考力を 保護者ら向け教育本出版

矢田文
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 【鳥取】子どもたちが自分の力で考えてICT(情報通信技術)を活用するための「デジタル・シティズンシップ教育」について、県情報モラルエデュケーターの今度珠美さんが共著で書籍にまとめた。デジタルシティズンシップの専門書は国内では初めてという。教育現場では新型コロナウイルスの影響によるオンライン授業などに伴いICTの導入が加速しており、教育関係者や保護者らに読んで欲しいという。

 デジタルシティズンシップとは、ICTを自分で責任を持って適切に利用するための規範で、欧米の教育現場で取り入れられている。日本の情報モラルに似ているが、SNSの危険性やネット依存のリスクがあることを強調する情報モラルに比べて、積極的に活用する力を育むことに重きを置いている点で違いがあると今度さんは指摘する。

 刊行した書籍「デジタル・シティズンシップ コンピュータ1人1台時代の善き使い手をめざす学び」(大月書店)では、デジタルシティズンシップの説明や、日本における情報教育の現状の課題などをまとめた。また、ネットの中で起こりうるトラブルなどを想定したワークシートなどがついており、実践的に学べるような工夫もしている。

 全国各地の小中学校や高校でネット利用の授業をしている今度さん。授業の冒頭でまずインターネットの良さや可能性を子どもたちに尋ねると、生徒たちの多くが驚いた表情を見せるという。「情報モラルの授業というと、『してはいけない』と否定的なことを言われると思い込んでいる」からだという。

 ネット世界が社会の一部分として当たり前になっていく時代においては、リスクに大人が制限をかけるのではなく、「子ども自身にどう対処するかを学ばせることが必要だ」と今度さんは言う。

 A5判168ページ、1700円(税抜き)。4章構成で、今度さんは第4章「デジタル・シティズンシップ教育の実践」を担当した。(矢田文)