ワシントン=青山直篤
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は10日、コロナ危機前から続く強いデフレ圧力について「直ちに変わるとは考えにくい」と強調した。直前にサマーズ元財務長官が、バイデン政権下の空前の財政刺激によるインフレのリスクに異例の警告を発していたことに「防戦」した。ただ、経験したことのない規模の危機対応が物価動向に及ぼす影響は見通しにくく、手探りの政策運営だ。
米経済は危機前に比べ1千万人規模が失業した状態だが、未曽有の財政金融政策を好感して株価は上がり、給付金などを通じて家計の貯蓄率も高い。パウエル氏は「経済活動が再開するにつれ、控えられていた消費が一気に回復し、物価に上昇圧力が働く可能性はある」と認めつつも「力強さを欠き、一時的だ」と述べた。
拡大する米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=2019年7月10日、ワシントン、ランハム裕子撮影
コロナ不況による需要減で、物価は下がりやすい地合いが続いてきた。ただ、市場が予想する物価上昇率や、それを反映する長期金利は既に上昇の兆しがある。バイデン大統領は総額1・9兆ドル(約200兆円)の追加経済対策を1月に議会へ要請。民主党が上下両院を事実上制したこともあり、巨額の財政赤字を前提とした追加対策が3月までに決まるとの期待が強まっている。
これを受けて異例の警鐘を鳴ら…
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