森会長後任は川淵氏で調整 飛び交った候補にはあの人も

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 余人をもって代えがたい――。そう周囲に擁護されてきた東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が辞任の意向を周囲に伝えた。後任には選手村の村長の元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)が有力となっている。

 川淵氏はサッカー日本代表として、1964年東京五輪に出場。91年にJリーグ初代チェアマンに就任し、日本サッカー協会会長などを歴任した。東京・晴海の選手村の村長で、東京五輪パラリンピック大会組織委の評議員も務めている。森会長と同じ早大出身で、年齢は一つ上だ。

 関係者の間では、女性蔑視発言への批判の高まりを受け、後任候補の名前がすでに飛びかっていた。

 特に注目されていたのが安倍晋三前首相だ。「国際オリンピック委員会(IOC)や政府、東京都、スポンサー。各方面との調整が重要で首相経験者として安倍さんは適任」と語る関係者がいた。

 森会長とは、共に自民党・細田派(清和政策研究会)出身で、師弟関係にある。第2次安倍政権発足後の2013年9月に大会招致が決まると、二人三脚で準備を進めた。昨年3月、コロナ禍で危ぶまれた大会の1年延期を推したのは、安倍氏だ。首相退任後の10月には組織委の「名誉最高顧問」に就き、IOCのバッハ会長の信頼も厚い。

 しかし、安倍氏の線は薄い、との見方が大会関係者の間では一般的だった。

 その理由は「桜を見る会」前日の夕食会の費用補塡(ほてん)問題だ。朝日新聞の1月の世論調査では、安倍氏が「自分は知らなかった」と説明していることに「納得できない」という回答は8割に及ぶ。大会関係者は「今の状況だときつい。五輪への風当たりが強いのに世論の反発が増すだけ」とみていた。

 辞任のきっかけが女性蔑視発言だったこともあり、後任に女性を推す声もある。その観点では橋本聖子五輪相の名前が挙がっていた。しかし、規範で国務大臣公益法人の役職の兼職を禁じられており、組織委会長に就任するには五輪相を退く必要があった。

 直近2大会では、12年ロンドンの元陸上五輪金メダリストのセバスチャン・コー氏(現・世界陸連会長)ら、IOCにも顔が利く元選手が組織委の会長を務めてきた。

 日本の元選手やスポーツ界の人材としては、橋本五輪相のほか、日本オリンピック委員会山下泰裕会長、IOC委員で国際体操連盟会長の渡辺守成氏らの名前も挙がっていた。

 組織委幹部の一人は、「調整型の日本社会では森会長の力は大きかった。大会延期やコロナ対策は、過去大会の組織委では出来なかった、というのがIOCの認識。パラリンピックも盛りあげてきた。森さんに代わる人はいないよ」と嘆く。別の幹部は「大会まで半年を切った。誰が会長でも準備は着々と進める」と語る。