昔「一家に一台」加速器が 旧式テレビの先に宇宙の起源
村山斉の時空自在<45>
国際リニアコライダー(ILC)計画が注目されるのにはわけがある。
この大型施設の大きな目標は二つ。一つは「母なる」暗黒物質を探すこと。もう一つは「空気のような」ヒッグス粒子の実体を詳しくつかむこと。どちらも私たちのルーツを探す旅だ。
当然こうした目標は世界共通だ。設計段階から、世界49カ国・地域が一緒にやってきた。実はドイツや米国が先に名乗りをあげたのだが、当時はまだヒッグス粒子が見つかっておらず本当に設計通りのエネルギーで十分かどうかはっきりしなかった。それが2012年に見つかり、必要なエネルギーの目標がはっきりした。その間に他の国は別の施設を始めてしまい、タイミングを逃した。そこで日本にチャンスが巡ってきたのだ。去年の欧州の将来戦略リポートでも「これからはヒッグスファクトリー(工場)だ、日本がやるなら一緒にやる」と書いてある。
しかも米政府が乗り気だ。去…