生でもおいしい渋柿スイーツ 岐阜で脱渋方法開発

松永佳伸
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 岐阜県農業技術センターは、傷ついたり、軟らかくなったりして干し柿に適さず、廃棄されていた渋柿の有効活用法を開発した。渋いままの生の果実にたんぱく質を加えることで渋みを感じなくなり、和洋菓子に加工できるという。

 県は、特産の富有柿発祥の地として知られるほか、堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)や伊自良大実柿(いじらおおみがき)、富士柿といった干し柿用の渋柿の栽培も盛んだ。渋柿はひもにつるして乾燥させ、渋を抜いて販売したり、和菓子などに利用されたりしている。

 同センターは、収穫前に落ちたり、干し柿の製造過程で傷ついたり、実が軟らかくなりすぎて干し柿に適さない果実が毎年、多く発生し、廃棄されていることに着目した。

 柿の主な脱渋方法としては、アルコールや炭酸ガス、干し柿などにする方法が一般的だが、コストや手間暇がかかる。センターは、柿の脱渋メカニズムを解明する中で、渋みを感じる元となるカキタンニンが、たんぱく質と結合しやすい性質があることを突き止めた。

 そこで、渋柿をつぶしたピューレと、菓子類の製造によく用いられる牛乳やヨーグルト、ゼラチンなどのたんぱく質を含む素材を混ぜ合わせた。目安として渋柿の重量に対し、10%以上のたんぱく質を加えることで渋みは感じられなくなったという。たんぱく質がカキタンニンを包み込むように結合したと分析。たんぱく質と混ぜた渋柿ピューレを加熱しても効果は持続するという。

 同センターは、チーズケーキやプリンなどのレシピを公開したところ、「ル・シエルブルー」の浅井敬浩さん(66)が商品開発に名乗りを上げた。干し柿を材料に使ったことはあったが、生の柿を使うのは初めて。渋を抜くと甘みが強い高級な堂上蜂屋柿のペーストとクリームチーズを混ぜ、焼き上げた後にシャキシャキした食感が特徴の太秋柿(たいしゅうがき)を乗せたチーズタルトを考案した。

 浅井さんは「堂上蜂屋柿は高価で手が出せないが、ペーストにすれば渋柿をつぶしたピューレと材料にも使うことができる。1年を通じておいしい柿の食べ方を提案していきたい」と話す。昨年12月下旬から約1カ月間、タルトを販売したところ好評だったことから、次の商品開発も見据えているという。

 県は、県立岐阜農林高校の生徒と連携し、伊自良大実を使ったアイスクリームの開発にも取り組んでいて、6月の商品化を目指している。同センター果樹・農産物利用部の新川猛部長は「廃棄されていた渋柿を有効利用し、新たな特産品を開発することでブランド価値を高め、知名度向上につなげたい」と話した。(松永佳伸)