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 企画展「飽海(あくみ)遺跡―吉田城の地下に眠る古代役所」が、愛知県豊橋市中央図書館で開かれている。豊橋市役所敷地や豊橋公園を中心に広がる遺構では近年、すずりや製塩土器など役所施設特有の遺物が出土しており、古代律令制度下の役所だったと考えられる調査結果を紹介している。

 飽海遺跡の範囲は、大半は吉田城址(じょうし)と重なる。豊川下流でも高台のため水害の心配がなく、縄文~弥生時代には集落があったと考えられる。大宝律令(701)の後は奈良、平安時代前期にかけて、現在の豊橋市と田原市を中心にした渥美郡を治めた役所の郡衙(ぐんが)があったと推定される。

 飽海遺跡を本格的に取り上げた展示は初めて。円面型と角形の2種類の須恵器のすずりや、墨書文字が書かれた土器など約100点を展示しており、政務のため文字を書く特別な人々がいたことがうかがえる。

 また、渥美半島で海水を煮詰め、そのまま塩を運び込んだと思われる製塩土器が大量に出土しており、朝廷に税として納めた塩を集めたためという。雨乞いや疫病封じの祭祀(さいし)で、生けにえになった馬の骨も展示している。

 遺跡の上には、戦国時代に今橋城(後の吉田城)が築かれ、江戸時代に吉田藩の中心部となる。企画展を担当した豊橋市文化財センターの村上昇・主任学芸員は「水運の拠点でもあった便利な場所。吉田城のはるか以前から役所があったことを知ってほしい」と話す。

 企画展は28日まで。市中央図書館では13日午後2時から、飽海遺跡など今年度の市内の発掘成果を報告する「考古学セミナー」がある。定員40人、100円。(本井宏人)

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