水くむだけで生息調査 宍道湖七珍復活へ新手法 島根大

清水優志
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 川や海の水をくむだけで、どんな生き物がいるか分かる――。「環境DNA分析」と呼ばれる新しい研究手法を用い、資源量の減少が危惧される「宍道湖七珍」などの魚介類の実態調査が島根大学で進められている。研究者は「資源保護に向けた基礎データになる」と期待している。

 調査しているのは、島根大学生物資源科学部の高原輝彦准教授らのグループ。環境DNA分析は、水に溶け出した生き物のふんなどに由来するDNAをもとに、水生生物の生息の有無や数などを推定する。1リットルの水をくんで濾過(ろか)処理してDNAを精製。PCR法で特定のDNAを増幅して分析することで、希少生物でも簡単に生息状況が分かるという。

 高原准教授らによるヤマトシジミの調査では、宍道湖東岸で高いDNA濃度を記録し、実際に採取して調べる県の資源量調査と傾向が一致。塩分濃度とDNA濃度に相関があり、シジミが宍道湖内の塩分濃度の高い場所を好んで生息することが確認されたという。また、宍道湖のシジミ資源量の推定に向け、2017年6月と10月に宍道湖岸の122地点で採水し、湖全域でシジミのDNA濃度を分布図にすることにも成功した。

 16年2月~19年1月に実施したニホンウナギの調査では、冬場にDNA濃度が低下するなどの季節的な変動を確認。観測地点によってもDNA濃度が異なり、砂利浜や護岸で低かった一方、岩場や消波ブロック周辺で高いことが分かった。ウナギの隠れ家になったり、エサ場になったりしている可能性が考えられるという。高原准教授らは松江市と協力し、中海での保護礁設置の効果検証も進めている。

 高原准教授らは15年12月から宍道湖と中海の計14地点で毎月採水し、DNAサンプルを蓄積している。「手軽な手法でデータを集められれば、資源量の長期的な変動を見ることができる。漁協や自治体とも協力して資源減少の原因や復活の手がかりをつかみ、宍道湖七珍などの資源保護に貢献したい」と話す。(清水優志)