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 11日午後、杉並公会堂(東京都杉並区上荻1丁目)に、小学生とその父母ら約300人が集った。

 杉並区が提携する日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)のコンサートだ。昨年8月に共演した小学生ら区民が招待された。

 桃井第五小学校の合唱団に所属する崎口希鷹さん(11)は、日本フィルと共演。「最初は緊張したけど、歌ってみると楽しかった」と振り返る。母親の優美さん(35)は、「リハーサルの時、団員の人たちに優しくしてもらった。こんな機会でもないとコンサートに行かないので楽しみです」と話した。

 新型コロナウイルス対策として、入場者は検温。2階の全席と1階の1列目は客を入れず、観客は距離を空けて座った。開演前には、声を上げないようにという注意のアナウンスが流れた。

 指揮者や演奏者の一部は、マスクをしているのが見えた。後列の吹奏楽器の前には透明の仕切り板も設置されている。

 50分と短い時間だったが、日本フィルは杉並応援テーマ曲「Go for it!」など8曲を演奏。楽器の紹介などもあり、オーケストラ初心者にも楽しめる内容だった。

 1956年に設立された日本フィルは、企業などのスポンサーを持たず、チケット収入などで運営している。

 通常は年間140~150をこなす公演は、昨年2月以降、70公演が中止になった。コンサートマスターの田野倉雅秋さん(44)によると、80人の楽団員は自宅などで練習したが、集まって合奏することが難しく、オンラインで音合わせをするなどしてきた。「新しいことに挑戦する時期でもあった」と振り返る。

 だが、苦境は続く。昨年7月からは入場率50%で演奏活動を再開したが、約9億5千万円見込まれていた収入のうち、約6億円を失った。経費を節約し、区からの補助や寄付などで圧縮したが、今年度は1億円以下の赤字が出る見込みだ。

 事務次長の別府一樹さん(43)は、「今も解散の危機にある」と打ち明ける。日本フィルは公益財団法人だ。2021年度の決算までに債務超過を解消して純資産300万円を確保できなければ、存続できない。現在、国に制度の変更を働きかけているという。

 応援したい人に向けて、寄付やサポーターズクラブの入会も募っている。オンライン寄付の詳細は「日本フィル オンライン寄付」で検索を。(杉原里美)

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