パートナーシップ制度の実現求めて「カラフル松山」発足

照井琢見
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 性的少数者らのカップル関係を、自治体が公的に認める「パートナーシップ証明制度」。愛媛県では導入を表明した自治体はない。1月下旬、松山市で制度の実現をめざす会「カラフル松山」が発足した。

 パートナーシップ証明制度は、性的少数者や事実婚のカップルに対し、自治体が独自に証明書を発行するもの。公営住宅の入居をカップルで申し込める▽公立病院でパートナーの病状説明を受けたり手術の同意ができたりする、といった効力がある。婚姻制度のような法的効力はなく、財産の相続権や子どもの共同親権などは認められない。

 カラフル松山は、性的少数者やその支援者ら10人あまりで結成した。「同性のパートナーと制度を利用したい」と望む男性や、「交際する男性と結婚はしないが、関係を認めてもらいたい」という女性らが参加。月に1度の勉強会を開きながら、松山市でのパートナーシップ証明制度の実現をめざして活動する。

 代表は、市内でバーを営む、ゲイ男性の佐伯太一さん(34)。3年前から交際している男性パートナーがいる。「一番心配なのは、彼氏が病気になったり事故に遭ったりしたとき。今のままでは赤の他人として、何も知らされない。それがさみしい」

 物心ついたころから、同性にひかれると自覚していた。家族に自分の性的指向を打ち明けたのは、中学3年生のころ。タンスに隠したゲイ向けの雑誌を母が見つけた。「やばい、ごまかそう、と思った。『学校で流行(はや)ってる』と言い訳したけど、結局『実は男にしか興味ない』と打ち明けた」

 母は車で家を飛び出し、一晩帰ってこなかった。2週間ほど会話もできなかったが、父が母との仲を取りもってくれた。「父は大阪で働いていたとき、ニューハーフバーとかゲイバーに行ったことがあったみたい。『そういう人もいるよね』と寛容でした」

 パートナーと出会ったのは、自分の店を開くために松山のゲイバーで修業していたとき。会社の慰安旅行を抜け出して来店した男性と意気投合し、2018年2月ごろに交際を始めた。

 20年1月、香川県三豊市に四国で初めて「パートナーシップ宣誓制度」が導入された。「勇気づけられたし、彼氏とも『松山にも、できたらいいね』と話したんです」

 しかし、愛媛で導入に向けた話が聞こえてこない。「声をあげる人がいなかったんだと思う。『あれば使いたい』と思っていた私も、誰かがやってくれると思っていた」

 昨年、知人に誘われて、カラフル松山に参加することを決めた。「制度を利用したがっている人はたくさんいるよと示したかった」

 会は今年1月24日に発足した。役員の顔合わせで、制度を必要としているのは自分のような性的少数者だけではないと知った。シングルマザーの女性からは、「自分も婚姻制度に疑問を持つ『当事者』だと思う」と聞いた。

 「夫婦別姓がいい人や、結婚はしない人。いろんな家族の形がある。自分の性的指向に関わらず、誰でも使える制度の方が伸びしろを感じる」と佐伯さん。勉強会で意見を交わしながら、要望する内容を検討していくつもりだ。

 「本当は結婚がしたい。できない以上、『ままごと』みたいでも制度で関係を認めてもらいたい。だから松山での制度導入は、とりあえずの目標。みんなで勉強しながら、できるところまでやりたい」

 次回の勉強会は、14日午後1時から松山市男女共同参画推進センター(コムズ)で。ほかの地域での制度の現状を学ぶ。問い合わせは、カラフル松山のLINEグループ(QRコードから)へ。(照井琢見)

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