カーナビが語り部役で被災地を案内 レンタカーに搭載

志村英司
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 語り部が同乗しているように、東日本大震災の被災地を案内するカーナビを、日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)が開発した。ナビを搭載したレンタカーで各地を巡る四つのコースを設定し、防災学習などでの活用を呼びかけている。震災をより多くの人に知ってもらう取り組みだ。

 「語り部ナビ」は、防災学習や企業研修などで役立ててもらおうと昨春ごろから開発に着手。同市内で活動している語り部に同乗してもらい、巡るコースを設定し、語り部の言葉を元にナビで流れる文案も練った。「アイシン・エィ・ダブリュ」(愛知県)の「観光ナビ」システムを使って、昨秋に実用化し、サービスを始めた。

 児童と教職員84人が犠牲になった旧大川小学校(同市)では、「避難を開始したのは津波が来る1分前でした」「学校の管理下での犠牲者の数では東日本大震災で最悪の事態になってしまいました」と説明が流れる。防潮堤をめぐって住民の意見が割れた同市雄勝町では、「高い防潮堤は安全を高めるだけでなく、景観が壊れるデメリットもある」。隣の女川町を通る際には、東北電力が再稼働を進める女川原発にも触れて、「福島のような事故を懸念して地元には複雑な心境の声も少なくありません」と伝える。

 被災当時の様子を伝える震災遺構などは、電車やバスなどの便が悪い場所が多く、車で巡るのが適している。同協会では、コロナ禍でも震災について学べる手段としての活用を呼びかけている。

 同協会の石渡賢大・事業部長は「防潮堤や原発はいろいろな考え方がある。事実に基づく判断材料を提供しようと心がけた」と話す。

 コースは所要2~6時間の計4コース。ナビは1千円(レンタカー代は割引あり)。協会のHP(https://www.japan-csa.org/別ウインドウで開きます)から申し込む。

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 震災直後に設立された同協会は、仮設住宅の住民に車を共同利用してもらうカーシェアリングを行った。全国から寄付された車は、熊本地震西日本豪雨などの被災地でも活躍。普段はレンタカーとして一般に貸し出され、その収益を災害支援などにあてている。

 同協会は、新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった人を対象に月額5千円で車を貸し出している。生活困窮者の家計改善や就労に向けた支援をする団体と連携。「足の確保」を通じて生活の立て直しを後押しする。

 協会によると、地方では車がなくて就職活動ができない事例が少なくない。そこで、車の維持費が家計を圧迫しないよう、車を低価格で貸し出すことにした。

 最長で1年間利用でき、任意保険などは自己負担。同協会(0225・22・1453)では車の寄付も受け付けている。(志村英司)

震災伝承1日コース(所要6時間)

JR石巻駅近くの日本カーシェアリング協会→道の駅「上品(じょうぼん)の郷」→旧大川小学校→雄勝病院跡地(慰霊碑)→雄勝町波板(ハワイに漂流した小船を展示)→シーパルピア女川(女川町)→石巻南浜津波復興祈念公園→日和山公園→いしのまき元気いちば→協会