20年ぶり7千億円台 県当初予算案、コロナ影響で肥大

中島健
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 大分県は12日、総額7027億3100万円の新年度一般会計当初予算案を発表した。前年度比7・3%増と8年連続の増額編成で、7千億円台は2001年度以来20年ぶり。県税収入が大幅に減るなか、前年度当初は計上されていなかった感染拡大防止対策に194億円を盛り込むなど、新型コロナウイルスの影響で規模が膨れあがった。25日開会予定の県議会に提案する。

 今回の予算は、「ポストコロナ」を見据え、地方創生を加速させるための積極予算との位置づけだ。広瀬勝貞知事は12日の記者会見で、「コロナを十分に警戒しながら、安心して豊かに暮らすことができる大分県づくりをめざしたい」と狙いを説明した。

 財政課によると、予算規模が過去最大だったのは00年度の7205億5600万円で、今回は過去4番目の規模だという。

 予算規模が膨らんだ要因は、やはり新型コロナウイルスだ。

 今年度当初では計上していなかったPCR検査や、患者を受け入れる病床確保などの感染拡大対策に194億円を充てる。落ち込んだ景気や社会活動を活性化させるための事業費も必要で、企業の資金繰りや事業再生などを支援するための新たな制度融資の資金を創設するなど事業費860億円を計上し、今年度当初の倍以上に拡充した。

 ただ、長期総合計画に沿った「宇宙港」の推進など先端技術分野や、地方創生にも一定の事業費を確保。新規・重点事業に充てる特別枠「ポストコロナ社会創造枠」は前年度と同じ25億円を予定していたが、133事業32億円に膨らんだ。

 歳入では、自治体が使い道を自由に決められる一般財源の柱の県税収入が前年度比137億円(10・7%)少ない1143億円。地方譲与税も76億円(33・2%)減少し153億円となるうえ、国の税収が減少していることから、地方交付税は70億円(4・1%)増の1790億円にとどまる。交付税の代わりに財源不足を穴埋めする臨時財政対策債は133億円(67%)増の332億円になり、同対策債を含む県債の発行総額は912億円で8%増。ほかに財政調整用基金を65億円取り崩すなどして財源を捻出した。

 県民1人当たりに換算した県債残高は、21年度末で98万円に膨らむ見込み。財政調整用の基金残高も、行財政改革推進計画で24年度末の目標に掲げる330億円に及ばない236億円と見込んでいる。

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 県は12日、新型コロナウイルスの影響で疲弊する県内産業を早急に支援するため、45億4900万円を増額する今年度一般会計補正予算を専決処分した。中小企業や個人事業主への応援金の3度目の給付費などを盛り込んでいる。

 コロナの影響長期化で、事業継続や雇用維持に苦しむ中小企業や個人事業主への応援金に35億円を計上。制度融資を活用する法人に20万円、個人に10万円の追加給付(初めての給付は法人70万円、個人35万円)を行う。

 また、カップルが挙式を中止・延期しないで済むよう、新型コロナ対応策を講じた会場での結婚式と披露宴の衣装代などの経費(上限10万円)を2千組に助成するウェディング応援事業に2億2千万円を充てる。

 県こども未来課によると、2019年は県内で約5千組の婚姻届が提出された。民間の調査では約2700組が式を挙げたが、20年は約1200組に激減したという。挙式の中止や延期は、出産時期の遅れなどにもつながるため、コロナ対策に取り組む式場での挙式を支援するという。

 「Go To トラベル」の延期などで影響を受ける観光業界への支援策も盛り込んだ。県民の県内旅行を宿泊は5千円、ツアーなどの日帰りは2500円を上限に助成する緊急対策を3月下旬にも始める予定で、2億円を計上した。「トラベル」が再開されれば、併用も想定する。

 また、昨年は多くが中止された卒業式や入学式に、県産の花を使った花飾りを展示し、生産者を支援する県産花き消費拡大緊急対策に2700万円を計上した。(中島健)

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 ◎当初予算案にはこんな事業も

事業再生支援(2億円)

 新型コロナや豪雨などの影響で過大な負債を抱える企業に対し、資本注入などで支援する中小企業再生ファンドに出資する

新型コロナ対応離職者再就職支援(1200万円)

 感染拡大の影響で離職した人の再就職のため、コーディネーター配置やセミナー開催などで、人材不足分野への転職などを支援

病児保育充実支援(1億2100万円)

 居住地と勤務地が違っても病児保育を利用できる仕組み作りや、空き状況の確認・予約がスマホなどでできるシステム導入を支援

ラグビーW杯2019レガシー継承(3900万円)

 トップリーグのキヤノンによるラグビークリニックや、W杯で活躍した選手の手形・足形を配置するラグビーロードをつくる

スペースポート推進(1億7100万円)

 大分空港宇宙港として活用する構想で、関連産業の集積に向けた調査や、空港の隣接地に整備する展望エリアの設計をおこなう

大分らしい和牛肉生産流通戦略(1千万円)

 消費者の好みの変化に合わせ、シイタケの菌床のような県産のエサを与える試験などで大分らしい牛肉づくりを研究する

ねぎ産出額100億円プロジェクト推進(2800万円)

 白ネギとコネギの合計産出額を、2018年の60億円から23年までに100億円に拡大することをめざし、新規参入者の機械導入費補助や技術指導などを計画する

スキルアップ移住推進(2400万円)

 IT分野への就職・転職を条件に県内への移住希望者を募り、企業側とのマッチングイベントやオンライン講座を開いて移住を促す

※カッコ内は事業費。100万円未満は切り捨て