佐世保重工業「再就職を支援 地元貢献続ける」

原口晋也、横山輝
[PR]

 【長崎】旧日本海軍の海軍工廠(こうしょう)の流れをくみ、戦後、佐世保市の地域経済と雇用を支えてきた佐世保重工業(SSK)が、伝統ある主力の造船事業の「一時休止」と同事業を中心に250人の希望退職を募ることになった。12日、緊急記者会見した名村建介社長は「生き残って地元に貢献するための抜本的な事業再構築を検討した結果」と説明した。

 名村社長は「痛恨の極みだ。希望退職者には退職金の割り増しや再就職の支援をしたい」と述べた。退職を迫ることはせず、250人を目標に5月6~21日に募集することを明らかにした。

 SSKは2014年、中堅造船会社の名村造船所(大阪市)と経営統合して完全子会社となり、上場を廃止した。以来、名村の支援を受けて老朽設備の更新や整備などを進めてきたが経営難は続き、「内外の新鋭造船所に比べて見劣りするコスト競争力を短期間に改善させるのは難しい」として、事業の再構築を進める中での決断だと名村社長は説明した。

 「今まで以上に積極的に自衛隊の艦艇修繕、海上保安庁の船やフェリーなどの特殊船の修繕に加えて一般商船の修繕にも取り組み、(船のエンジン部品をつくる)機械事業との両輪で、安定した事業の再構築を加速させる」と述べた。

 売り上げの7割を占めてきた造船事業を「一時休止」するとした表現について問われると、「名村造船所・伊万里事業所(佐賀県伊万里市)の補完として佐世保の生産設備を活用していきたい」と説明。造船事業の再開について、「将来の選択の余地を残しておきたい」とし、佐世保の生産設備を売却することはないと明言した。

 佐世保市朝長則男市長はコメントを発表。「前身が海軍工廠だった歴史的背景も踏まえると、基地の街での船舶の修繕機能は今後も需要が見込まれる。長年培った技術やノウハウを生かせるよう協力する」と表明。希望退職者の再就職については「県などと連携しながら最大限協力する」とした。

 また、中村法道知事は「韓国・中国との競争激化やコロナ禍の中で、事業継続のため苦渋の決断をされたものと思う」とする談話を発表。「転職支援について、国や佐世保市と連携して対応する」とし、「造船業の受注が回復した折には、ぜひ佐世保での新造船事業を再開していただきたい」と期待した。(原口晋也、横山輝)