トロッコ、悲願の県境越え 江の川鉄道の実証実験始まる

浪間新太
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 【島根】旧JR三江線跡の島根県邑南町と広島県三次市にまたがる区間で13日、乗客を乗せた観光用のトロッコ列車が江の川の鉄橋を渡って初めて県境を越え、邑南町から三次市に乗り入れた。町内でトロッコ列車を運行してきたNPO法人「江の川鉄道」などが実証実験として企画した。

 最初の便は午前10時50分に口羽駅(邑南町)を出発。晴天の中、6人の乗客が乗った車両が午前11時すぎ、時速5キロほどで高さ約20メートルから江の川や山々が見渡せる県境の鉄橋「第4江川橋梁(きょうりょう)」(長さ約230メートル)を越えた。三次市側の堤防には地元住民ら20人ほどが訪れ、子どもたちが歓声を上げながら車両を出迎えた。

 実証実験は、往復約2キロ、35分間の道のり。乗客は口羽駅から鉄橋手前のトンネルまで江の川鉄道の屋根付き車両で進み、トンネル内で宮崎県で観光車両を運行する会社「高千穂あまてらす鉄道」からリースした、屋根なしの車両に乗り換えた。トンネルの壁にはプロジェクターで三江線の開通から廃線までの歴史を振り返る映像が映し出され、乗客を楽しませた。

 最初の便に夫婦で乗った広島市の会社役員、中本由佳里さん(61)は「トロッコで県境の鉄橋を越えるのはとても新鮮な体験。周辺の景色がきれいで、旧三江線は地元の暮らしにとって大切なものだったのだろうと実感した」と話した。

 実証実験は、観光庁が進める「誘客多角化等のための滞在コンテンツ造成」実証事業に採択され、事業費として上限1600万円の支援を受けて実現。NPO法人伊賀和志(いかわし)江の川鉄道(三次市)と共同で13、14日と19~23日に1日4便、定員6人で運行する。

 江の川鉄道は2018年9月から、邑南町がJR西日本から譲渡された町内の口羽駅、宇都井駅と、両駅周辺の線路を観光資源として活用してトロッコ列車を運行。両駅間の約5キロは島根・広島両県境が入り組み、未譲渡の三次市側の線路の手前で折り返し運行していた。

 江の川鉄道の日高弘之理事長(80)は「無事に県境を越えられてほっとしている。実証実験を契機に、旧三江線を観光資源としてさらに活用し、地域振興につなげていきたい。実験の成果を踏まえ、口羽駅・宇都井駅間の5キロの運行を目指して、三次市やJR西と協議を続けていく」という。(浪間新太)

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