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 熊本県南小国町の黒川温泉で、旅館の生ゴミなどで堆肥(たいひ)をつくり、地域の畑で活用する試みが始まっている。堆肥で育った野菜を旅館で提供し、環境に優しい循環の仕組みを形成していこうという狙いだ。

 堆肥づくりの実験が、専門家の助言を受けながら昨年9月に始まった。10軒弱の旅館が10日分の生ゴミを提供。地域に豊かな木々の落ち葉、農家や直売所からのもみ殻やぬかも加えた。温泉地近くの空スペースで発酵させ、1月末に完熟堆肥約1800リットルが完成。これらを地域の農家数軒で野菜づくりに使用してもらい、春以降、生育への効果や野菜がどれぐらいおいしくなるかなどを検証するという。

 その後も検証を重ねながら、生ゴミなどの集め方や労力の確保、資金づくり、野菜のブランド化などの仕組みを組み立てていく。参加する旅館や農家を徐々に増やし、将来は約30軒の旅館がある地域一帯で循環できる仕組みをつくり上げることを目標にしている。

 「黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト」と名付けたこの活動の動画も制作。農林水産省と消費者庁、環境省が主催した「サステナアワード2020伝えたい日本の“サステナブル”」で環境省環境経済課長賞に選ばれた。この表彰は、食や農林水産業に関わる持続可能な取り組みを紹介する動画が対象で、「旅館から農家、農家から旅館の循環の様子が非常によく分かる映像」と評価された。動画はユーチューブの黒川温泉のチャンネルで視聴できる。

 黒川温泉観光旅館協同組合の北山元事務局長は「捨てるしかなかった生ゴミを活用できれば、環境やエネルギーへの負荷も減らせる。まだ実験として始めたばかりだが、一過性のものではなく、日常の中で継続する仕組みとして中長期的に取り組んでいきたい」と話す。(後藤たづ子)

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