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 東京の夜に浮かぶ艶(つや)っぽい光の塔。東京タワーのライトアップをはじめ、内外で多彩な仕事を手がけてきた照明デザイナーの石井幹子(もとこ)さん(82)が、主要プロジェクトを網羅した作品集『石井幹子 光の軌跡』(求龍堂)を出した。「闇の中から光で建物が浮かび上がれば、美しい」。建築や都市のみならず、時代や社会を照らしてきた半世紀だ。

 「照明は、画家のように一人ではできない。私の場合は『公』の仕事も多く、デザインは自分でやりますが、行政や電気工事の方、本当に大勢の人に助けてもらった」。石井さんは、作品集を見ながら、こう振り返る。

 東京芸術大でデザインを学んだ後、日本のデザイン事務所に入って、照明器具を担当したことから関心を抱いた。洋書で知ったフィンランドの照明器具会社のデザイナーに憧れ、横浜港を発って、その会社に。さらにドイツの建築照明の会社でも照明デザインを学んだ。1968年に帰国後、建築家・菊竹清訓(きよのり)氏の事務所を訪ねてドイツでの仕事を説明すると、「この空間にどんな照明ができますか」と聞かれ、すぐに山口県・萩市民館内部の照明を任された。

 「菊竹先生のオープンマインドに感動すると同時に実感したのは、私の仕事は実現させて、それを見て『ああ、なるほど』と理解されないと、次に結びつかないということでした」

 ひたすらに実績を重ねるなかで、菊竹氏や黒川紀章氏ら、気鋭の建築家と仕事をともにすることも多かった。

 しかし、70年代の石油危機では街のネオンも消え、「照明デザインなんて」と仕事が激減したという。

 そうした時期に実現した数少な…

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