ストップ川崎へ、ガンバの補強ポイント 強化担当が語る

構成・金子智彦
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 サッカーJ1で7年ぶりの覇権奪回に挑むガンバ大阪。昨季は2位でフィニッシュしたものの、優勝した川崎フロンターレには勝ち点で18差をつけられる独走を許した。その反省点はどこに? 新型コロナウイルス禍での補強ポイントは――。強化責任者の松波正信・強化アカデミー部長がオンラインで、朝日新聞の取材に応じた。

 ガンバ大阪では昨季途中、長らくチームの心臓だった遠藤保仁がJ2ジュビロ磐田へ期限付き移籍した。一方、大卒2年目のDF高尾瑠と、1年目のMF山本悠樹(いずれも関学大)ら若手が出場時間を伸ばした。

 「過密日程の中で最終的にけが人も出たが、若手も含めて色々な選手が出場し、パフォーマンスも悪くなかった。J3を戦ったU23(23歳以下)の選手らもコンディションがよく、終盤のJ1で戦えた。クラブにとって2位は非常に価値のある順位だった」

 「今季はJ1が20チームに増え、4年ぶりに出るアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)もある。タイトな日程になるので編成上、人を増やさないといけないかなと思ったが、若手の出場機会も考えると、あまり人数を抱え込まない方がいいと考えた」

 昨季は粘り強い守備で接戦をものにしたが、攻撃力では川崎に大きく水をあけられた。得失点差はリーグ上位では少ないプラス4にとどまった。

 「ゴール前での崩しや、チャンスの創出が少なかった。前線の選手個々のレベルは高かったが、やや個人頼みになってしまった印象がある。攻撃のバリエーションがグループとして共有できれば、もう少しチャンスは増やせたと思う」

 昨季のチーム得点王は9点を取ったパトリック。宇佐美貴史渡辺千真(J1横浜FCへ完全移籍)、アデミウソン(昨年末に契約解除)はいずれも6点で、4年ぶりに2桁得点者がいなかった。得点力アップが明確な補強ポイントになった。

 「(獲得にあたっては)まずJリーグの経験がある『順応性』を重視した。FWレアンドロペレイラは昨季J1サンフレッチェ広島で15点を奪った。前J1サガン鳥栖のFWチアゴアウベスもサイドハーフができる。前線のサイドは、FW小野裕二が昨季大けがで長期離脱するなど駒不足だった。今回、誰が出ても個人の能力を発揮できる補強はできた。あとは選手の組み合わせ次第だ」

 「(選手層が薄いとの指摘があるサイドバックについては)補強の考えは特にない。MF福田湧矢もサイドバックはできるし、DF黒川圭介も戦力になってきている。DF藤春広輝のコンディションも良さそうだ。高尾も昨季で成長した部分がある。もちろん守備は大事だが、今オフは攻撃的なスタイルを目指す中で、前線でパワーを出したいと考えた。たくさん点が取れるような布陣で臨みたい」

 新型コロナウイルスの影響で、選手補強には制限が伴った。外国籍の監督、選手については、入国が制限されてチームづくりが遅れているクラブもある。

 「年明けから政府による入国制限がここまで強化されるとは思っていなかった。ただ我々は元々、補強はJリーグに慣れていて、ある程度計算が立つ選手に狙いを絞っていた。レアンドロペレイラについては、ガンバがタイトルを狙えること、ACLに出場できることが、交渉する上で有利に働いたと思う」

 コロナ禍による収入減でクラブの懐事情は苦しい。その中で強化費のカットは最低限にとどまった。

 「そこは会社全体で頑張ってくれたので、非常に感謝しなくてはいけない。そういう意味でも、今年は結果を出していかないといけないと思っている。もちろん、移籍金がかからない選手をターゲットにするなど、やれる範囲で工夫はした。海外視察が困難なコロナ下でも、(海外選手の情報が確認できるデータベース『ワイスカウト』などの)映像や代理人から情報を得て調査している」(構成・金子智彦)

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 まつなみ・まさのぶ 1974年、岐阜市出身。東京・帝京高で全国高校選手権の得点王と優勝を経験し、93年にガンバ大阪入団。FWとして13年間プレーし、リーグ戦280試合出場、45得点。現役引退後、ガンバ大阪のユース監督やトップチームコーチ、監督を歴任した「ミスター・ガンバ」。2014、15年はJ3ガイナーレ鳥取監督を務めた。18年、アカデミーダイレクターとしてガンバ大阪に復帰し、同年8月から現職。46歳。