苦しみを語れない苦しみ 武漢の「英雄」になった私たち

有料会員記事新型コロナウイルス

上海=宮嶋加菜子
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 世界で最初に新型コロナウイルスの感染が広がった中国湖北省武漢。1年前、感染が蔓延(まんえん)して交通が遮断される「都市封鎖」が行われるなか、市内の病院では多くの医師や看護師らが押し寄せる患者の治療にあたった。

 感染の抑え込みが進んだいま、当時、治療の現場に立った医療従事者たちは「英雄」とたたえられている。だが、彼らは極限状態の中での治療によって心に刻まれた傷に苦しんでいる。

 感染症専門の男性医師(45)は、睡眠薬を飲まないとよく眠れないようになった。

 2020年2月初めから武漢市内の大学病院の集中治療室(ICU)で新型コロナの重症患者の治療に当たった。

 当時、武漢は1日あたり2千人近い感染者を出す状況に陥っていた。市内の病院の入院患者は約3万人にのぼり、うち6千人が重症だった。男性医師が働く病院でも、一般病棟に大量の酸素ボンベを持ち込んで人工呼吸器を使えるようにし、病棟すべてをICUとした。

 自分も感染するかもしれないという極度の緊張の下、連日続々と運ばれてくる重症患者への対応に追われた。

 担当する30人の病室では、1日に5人亡くなり、翌日に6人が亡くなる。そんな状態が続き、ウイルスの恐ろしさに震えた。

 「30年近く医師をしてきた…

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