月は火星移住の「実験場」 中国の探査に勢い、日本は?

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小早川遥平
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 月をめぐる国際競争が熱を帯びています。昨年は中国の無人月探査機嫦娥(じょうが)5号」が月の土を地球に持ち帰りました。「はやぶさ2」の成功で小惑星探査で世界をリードする立場になった日本も、米国と月探査に向けた共同宣言に署名。有人月探査の開発予算を増やすなど、巻き返しを図っています。ただ、米中の巨額投資に対抗するのは容易ではありません。なぜ今、世界は月をめざすのか。どうすれば日本の強みを発揮できるのか。日本の月探査機「かぐや」などにも関わってきた大阪大学の佐伯和人准教授(惑星地質学)に聞きました。

 ――中国の「嫦娥5号」の成功をどう見ていますか。

 米国と旧ソ連が成功して以降行われていなかった月のサンプルリターンに44年ぶりに成功したという点で意義があったと思います。中国はすでに2013年の嫦娥3号で月着陸に成功しています。今回は月面で再打ち上げを行い、月の軌道を回っている帰還機に試料を受け渡し、地球に帰還しました。これで中国には月の有人探査ができる技術がそろったことになります。まだサンプルを採ってきたばかりで成果が判明するのはこれからですが、そちらも期待しています。

 ――アポロ計画のときとは違った成果が期待されるのでしょうか。

 月の表面は隕石(いんせき)の衝突によってかき混ぜられて広範囲に様々な土地の岩石が混ざっています。今回は火山地帯の近くに着陸したということもあり、アポロのときにはあまりなかった火山性の破片が含まれている可能性があります。月の火山は一酸化炭素などの揮発性ガスで爆発したと考えられています。そのガスの正体が分かるかもしれません。着陸したときの映像には白い石が映っていました。何かは分かりませんが、分析を楽しみにしています。半年もしないうちに結果は出てくるでしょう。

日本の実力は

 ――中国は結果をそのまま公表するのでしょうか。

 科学的成果は独占して利益があるものではなくて、発表して研究レベルを周りに認めさせる方が国家的な利益が大きいです。「嫦娥4号」までの探査のデータは国際的な学会や学術誌できちんと発表されていますし、私のところにも審査がきています。

 ――日本は「はやぶさ2」を…

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