中国への警戒感強めるドイツ 「メルケル後」を探った

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ベルリン=野島淳
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 中国への警戒感が、地理的に遠い欧州でも高まっている。軍事的な直接の脅威はないが、南シナ海の軍事拠点化など、一方的な現状変更を進める行為には目を光らせる必要があるからだ。ふだん軍事面では目立たないドイツまでが艦船をインド太平洋地域に派遣する計画を立てているが、どこまで地域で存在感を高めるのか。また、軍事面以外でどう中国に対応しようとしているのか。

メルケル首相の退任後、ドイツの対中政策はどう変わるのでしょうか。記事後半では、連立政権のカギを握る「緑の党」で安全保障政策を担う議員に話を聞きます。

 ドイツの戦略変更がはっきりと表れたのが、政府が昨年9月に発表したインド太平洋ガイドラインだ。

 この地域での外交や安全保障、環境、経済など幅広い政策の基本的な考えを省庁横断でまとめたものだ。多国間主義や法の支配、人権擁護など、ドイツが重視する基本的な価値観を日本などインド太平洋の国々と共有し、連携を深める狙いがある。

 約70ページにわたる文書には「中国を警戒する」といった直接の文言はない。だが、日本や豪州、東南アジアの国々との連携強化の文言から、その警戒感は伝わる。

南シナ海も航行?

 ドイツ国防省がガイドラインの具体化の一つとして検討しているのが、今夏以降とみられるフリゲート艦の派遣だ。1隻を長期的にインド太平洋地域に送り、日本や豪州などへの寄港や共同訓練の参加、関係部署の人的交流などを検討している。

 「言うだけでなく、行動でも示したぞ」という姿勢を見せる意味はあるのかもしれない。ドイツ多国間主義を重視することを示す意味で「象徴的な一歩だ」とドイツ世界地域研究所のパトリック・ケルナー副所長は言う。

 1隻の艦船がもつ軍事的な重要性は大きくないが、南シナ海や台湾海峡など中国の機微に触れる海域を「航行の自由」を掲げ、ドイツのフリゲート艦が航行する可能性も取り沙汰されている。

 だが、軍幹部養成のヘルムート・シュミット大学で国際政治の教壇に立つミヒャエル・シュターク教授は「南シナ海や台湾海峡の航行はガイドラインの一部とはいえず、問題が多い。メルケル首相が認めるとは思えない。そもそも、1隻をこの地域に出して、何を成し遂げるのかという戦略があいまいなのが問題だ」と、派遣自体に手厳しい。

 シュターク氏も指摘するように、メルケル氏が「一定の歯止め」になっている可能性はある。

 メルケル氏は人権問題などは指摘しつつも、中国との経済的な関係を重視してきた。気候変動問題などでは中国と協力する姿勢を繰り返している。

 ただ、メルケル氏は今年9月…

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