乳児の嘔吐、消化管アレルギーかも 見つけにくく要注意
食物アレルギーの中には、食後3時間ほど経ってから嘔吐(おうと)などの症状が出る「消化管アレルギー」と呼ばれるタイプがある。新生児や乳児が発症するが、広く知られるようになったのは近年で診断も難しいため、見落とされるケースも少なくない。
数時間後に繰り返し嘔吐 鶏卵や牛乳が主な原因
都内に住む20代女性は1月上旬、生後10カ月になる長女を連れて国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)を訪ねた。長女が鶏卵を食べた後に、嘔吐したことがあったからだ。
2カ月ほど前、離乳食としてゆで卵の卵黄だけを食べさせたところ、数時間後に急に嘔吐を繰り返した。かかりつけ医に相談したが原因がわからない。2週間後も卵黄を食べた後にぐったりしたため、インターネットで調べ、食物アレルギーの専門外来がある同センターに連絡した。
野村伊知郎・好酸球性消化管疾患研究室長は「消化管アレルギー」と診断した。一般的な食物アレルギー(即時型アレルギー)は、体内の異物を攻撃する抗体「IgE」による過剰な免疫反応が原因だ。鶏卵の卵白や牛乳、小麦などを食べると、約1時間以内にじんましんやくしゃみ、せきなどが出る。アナフィラキシーショックなどの重篤な症状もまれにある。
一方、2000年ごろから世界で報告が増えたのが消化管アレルギーだ。「食物たんぱく誘発胃腸炎」とも呼ばれる。IgEではなく、たんぱく質に対する免疫細胞の一つのリンパ球の過剰な反応が原因とみられるが、詳しくわかっていない。引き金になる食物は鶏卵や牛乳が大半を占めるとされる。
食後3時間ほどで繰り返し嘔…