急な株高なぜ、今後も続く?リスク要因は 専門家の見方

聞き手・渡辺淳基、笠井哲也
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 日経平均株価の終値が30年半ぶりに3万円台を回復した。なぜここまで急騰したのか、この先のリスク要因は何か。3人の専門家に聞いた。

「日本企業への改革期待の高まり」 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 斎藤勉氏

 株高には、経済の正常化と、日本企業に対する構造改革期待の高まりが効いている。直近の企業決算は、設備投資面などでビジネス環境が正常化に向かっていることを確認できた。コロナ禍で固定費削減など企業の構造改革が進み、利益率の改善も著しかった。投資家はそれをポジティブにとらえているのだろう。

 中央銀行による金融緩和でお金があまり、株式へ流入する状態が続いているが、株価が過剰に上ぶれているわけでもないと思う。期待値が高すぎた企業には調整が入り、コロナ後も需要が続きそうな企業へと資金が移っている。健全な上昇に近いと見ている。

 ワクチン接種が広まり、緊急事態宣言が解除されれば、4月上旬ごろまでは期待を損なわせるような動きはない。空運や宿泊の銘柄がコロナ前の水準に戻れば、日経平均は3万3千円に達してもおかしくない。ただ、雇用環境や内需の回復が鈍いまま、財政政策も切れるとリスクもある。一気に資金が引きあげられ、年後半には、2万5千円ほどに下げる可能性もある。

「高値とみない海外投資家の存在」 大和証券の細井秀司氏

 株高の背景には、米国の景気拡大期待に加え、新型コロナワクチン接種が日本でも始まれば、状況の改善が見込まれることがあるだろう。製造業を中心に業績が回復し、直近決算は増益の会社が多かった。非製造業はワクチン投与で人の動きが活発になれば改善するので、株価下押しの理由にならないのではないか。

 中央銀行による金融緩和の拡大で運用資金が増えているのは事実だが、今はまだ緩和が縮小に向かうとは考えにくく、バブルのリスクを考える時期でもない。企業業績の回復感が強まって株の割高感もなくなり、過剰にお金が入っているという印象も薄れている。

 3万円は心理的な節目だが、ドル建てだとすでに過去最高値を超えている。通過点でしかない可能性もある。今年に入って(東証1部銘柄の)売買高が1日2兆円を下回る日はほとんどない。高いと思われる水準であっても、そう考えていない投資家が海外にいるのだろう。上昇ペースが速く、調整が今後入るかもしれないが、大崩れする理由は見つけにくい。

「過剰流動性による金融相場」 SMBC日興証券の末沢豪謙氏

 企業業績と株価を比較する株価収益率などの指標でみると、私の分析では、株価はバブル期以降では相当高い水準まで上がっている。つまり、業績に対する株価水準がやや割高になっている。足もとでは、先進国でワクチンの接種が進んでいることへの期待もあるが、全体としては、金融緩和財政出動で生じた「過剰流動性」がつくりだした金融相場の色合いが濃い。

 今後は米国の国債増発の影響や、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策次第で米長期金利が上昇し、株価にとって悪材料となる可能性もある。新型コロナウイルスの変異株の流行や、ワクチンの効果が期待を下回るような事態になれば、株価が急速に下落することもありうるだろう。

 各国とも、空前絶後の規模で財政を出しており、もう一度同じ対応をする余裕はない。企業業績の悪化や倒産の増加で失業率が高まれば、長期の経済低迷につながるおそれがある。(聞き手・渡辺淳基、笠井哲也)