社民、首相も生んだ牙城で「最後の戦い」 大分市議選

中沢絢乃、中島健
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 【大分】大分市議選が14日、告示された。首相も務めた村山富市氏を出し、直近の衆院選・参院選でも国会議員を送り出すなど、社民の牙城(がじょう)としての存在感を放ってきた大分。昨年、立憲民主への合流を決め、国会議員は2人とも離党したが、市議選では社民の看板を残して戦う。「最後の戦い」に候補者や支持者らはどんな思いで臨むのか。

 14日朝、社民の現職市議が地元のグラウンドで出陣式に臨んだ。支持者約100人を前に、同じ労組出身で長年活動を共にしてきた後援会長があいさつした。「社民として最後の戦いになるかもしれません。大分県の社民の評価、底力が問われる戦いです」。一方、市議は政策や意気込みは語ったが、合流に関する発言はしなかった。別のベテランの現職も出陣式では社民の行方には一言も触れなかった。後援会幹部は「合流の説明は複雑になる。カラーを出さずによかった」。

 全国的な党勢衰退で政党要件を満たせるかどうかの瀬戸際まで追い詰められた社民は昨年11月、立憲との合流を図り、臨時党大会を開催。賛否両派が激しく対立したが、合流、残留それぞれの選択を「理解し合う」ことになった。県内に基盤をもつ吉田忠智・参院議員と吉川元・衆院議員は12月、県連合に先行して立憲へ入党した。

 県連合としても立憲に合流する方針を決めているが、時期は今年4月とし、大分市議選は社民の看板を残して戦うことにした。吉田氏は「支持者も候補者も社民に思い入れがある。最後は社民として戦いたかった」と話す。

 一方で、合流に反発する県連合幹部もいる。4月以降も社民に残るというある幹部は、「(残留する党員が)少数になるのは間違いないが、このまま活動を続けたい。これが最後の戦いではない」と語る。

 全国的に退潮しているとはいえ、大分の社民は底力を残している。19年参院選比例区での大分市の得票数は、自民に次いで第2位。大分市議会でも推薦や無所属の議員も含めて8人で構成する「社会民主クラブ」は自民に続く第2会派だ。

 県連合では、①立憲へ合流②社民残留③いずれにも属さず離党、の三つの選択肢を示して、党員に対し意向調査を進めている。県内党員の半数ほどが在籍する大分市については、大半を市議選後に確認するという。

 そんな微妙な時期だから、社民の各候補者は合流について多くを語らない。「社民がなくなるのは寂しいが、全国的な支持の減少を考えると仕方がない」と理解を示す元労組組合員(78)もいるが、ある現役の労組幹部は「社民の支援者は高齢の人が多い。『立憲に移る』というのはマイナスにしかならない」と候補者の胸中を推し量る。会派構成を含めた今後の「身の振り方」は市議選後に改めて話し合うことになる。(中沢絢乃、中島健)