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 埼玉県川口市議会は市議会へ市民が提出する請願について、議員に「請願になじまないことについて提出者に理解を求めるとともに紹介を控えること」を求めることを決めた。請願は憲法16条で定められた国民の権利。市民団体からは「憲法に抵触する」と撤回を求める声が出ている。

 請願は、市議会の要領で提出手続きや紹介議員が必要なことなどを定めている。今回はこの要領に「留意事項」を付け加える形にした。

 留意事項では「請願になじまないこと」として、①公序良俗に反する②誹謗(ひぼう)中傷する③係争中の裁判に干渉するなど司法権の独立を侵す恐れがある――など8項目を挙げて、該当する請願には「提出者に理解を求めるとともに紹介を控えること」とした。

 請願は多くの地方議会がホームページなどで「憲法で保障された権利」として尊重していることを記している。陳情と違い、賛同する議員の紹介が必要なこともあり、制限する規定はほとんど見当たらない。

 今回、参考にしたというさいたま市議会は市民に向けて「請願になじまないものはご遠慮ください」とあるだけで、議員に提出を断念するよう働きかけることは求めていない。

 もともとは市と裁判になっている中学校の元生徒が受けたいじめ問題についての質問の取り扱いが発端だった。それが係争中の案件についての請願提出の問題になり、議会運営委員会の野口宏明委員長(自民)が昨年11月に留意事項を提案。4回にわたり審議された。

 自民は「請願提出に制限をかけるわけではない。議員として請願になじまないものにはきちんと対応しようということ」などと主張。公明、川口青嵐会が賛成して共産は退席。立憲民主の市議がつくる川口新風会だけが反対して1月18日に決まった。

 川口市議会は委員会でも申請すれば撮影や録音もできるなど開かれている一方で、全国市民オンブズマン連絡会議が調べた議会政務活動費の情報公開度ランキングでは中核市の中で3年連続でワースト。陳情についても卓上配布だけだ。

 今回の決定には批判の声が上がっている。川口市民オンブズマンは1月27日、柳田力議長に撤回を求める抗議文を提出。藤田貢代表は「多くの地方議会が議会改革の一環として請願・陳情は市民からの政策提案と受け止めている。今回の決定はその流れに逆行している」と話している。(堤恭太)