パートナーシップ制度、実情とそぐわず 自治体で要件差

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伊藤繭莉
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 性的少数者らの関係を公的に認めるパートナーシップ制度について、実情にそぐわないと当事者らが一部の自治体に改善を求めている。カップルが2人とも同じ自治体に住んだり、同居したりしていないと利用できないためだ。他方で、制度を利用しやすくするよう、自治体間で連携する動きも進んでいる。

 福岡市に住む女性(38)は昨秋、制度を導入している福岡市に問い合わせたが、申請できないと断られた。同性パートナー(38)は市外在住。市の申請条件である「2人の市内在住もしくは転居予定」に該当しないと言われたという。市によると、転居予定の場合は、証明書類を提出する必要がある。

 2人は、市が発行する宣誓書受領証を利用して金融機関の住宅ローンを共同で組み、市内の新居で同居することを検討していた。だが、宣誓書を取れず計画はストップ。女性は「市外であろうが、パートナーに変わりないのに」と訴える。

 山口県で初めて制度を導入する予定の宇部市は申請要件をさらに絞り、「市内での同居もしくは同居予定」とすることを検討している。市人権・男女共同参画推進課は「法律婚に準じた形で考えている。婚姻では住民票を一緒にすることが一般的だ」と説明する。北九州市も同様の申請要件となっている。

 一方、大阪市熊本市宮崎市福岡県古賀市などでは、カップルのうち1人が市内在住であれば申請できる。

 東京都渋谷区などによる全国調査で最も宣誓者数が多い大阪市では、宣誓した272組のうち、4分の1にあたる69組は1人が市外に住んでいるという(1月20日時点)。市人権企画課は「親に同性との同居を知られたくないので、住所を一緒にしないカップルもいる。当事者の気持ちに寄り添って制度を考えた」。古賀市人権センターも「単身赴任などの事情はよくあること。多様な生き方を応援したいので、制限を設けていない」と語る。

 LGBT支援法律家ネットワークの一員で、性的少数者らの団体「レインボー山口」の事務局長、鈴木朋絵弁護士によると、そもそも性的少数者の人たちは一緒に暮らすのが難しい。家族や職場に打ち明けていない人も多く、同居すると周囲に気づかれる可能性があるからだ。

 特に人口の少ない地方は、うわさになったり不審がられたりするため、慎重な人が少なくない。性的少数者同士の出会いも少なく、別の地域でパートナーを見つけることもある、という。一緒に暮らすどころか、同じ自治体で生活するのも厳しいのだ。

 鈴木弁護士は「双方が同じ市に住むという要件は利用者を制限している。使いやすいよう柔軟な制度設計をしてほしい」と訴える。

宣誓証明書、自治体間で連携の動き

 宣誓証明書は、取得しても転居する際に返還を求められ、利用の継続が難しい場合もある。転入先の自治体に制度がなかったり、制度があっても再申請が必要だったりするためだ。

 宣誓証明書の返還や再申請の…

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