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 長崎県は16日、2021年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は前年度当初比226億円(3・1%)増の7486億円。新型コロナウイルス対策費が総額を押し上げ、17年ぶりの高水準となった。併せて発表された20年度の補正予算案も合わせ、計489億円を一体でコロナ対策に投じる。

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 「予算に関わるようになって四十数年。ひとつの目的に対しこれだけの費用、事業数をかけた予算編成は、初めてであります」。県職員出身の中村法道知事は記者会見で、新型コロナ対策に特化した予算編成についてこう振り返った。補正も合わせた対策費計489億円。目立つのは打撃を受けた経済への支援策だ。

 1~2月に時短営業した飲食店の取引先には、1事業者あたり20万円の給付金を支給する。76万円の協力金の対象外となった業界から支援を求める声があがっていた。市町と折半して負担する費用として16億200万円を計上した。

 不振の観光業の浮揚を目指すのが「誘客促進キャンペーン」事業だ。県内で宿泊した客に一泊5千円を補助するもので、9億円を計上。国の「Go To トラベル」の停止・終了後の期間を補う施策で、15万人の利用を想定する。

 利用者減に苦しむバスやタクシー、フェリー会社には「緊急支援」として計8億8800万円を計上。車両に感染防止対策を施すための補助金など2億円も盛り込んだ。雇用対策事業費は8億1300万円。職を失った人たちを県が直接雇用したり、受け入れ企業を支援したりする。

 コロナ対策の両輪のもう一方をなす感染拡大防止対策は、これまでの施策の継続が中心だ。

 感染者を受け入れる38病院への病床確保支援に64億9400万円、軽症者向けの宿泊療養施設としてホテル・旅館12カ所を確保するのに19億5800万円をそれぞれ計上。昨年開設したドライブスルー方式の地域外来・検査センターは、1億9800万円を充てて維持する。

 ワクチン接種に向けた調整や相談窓口運営に7900万円を計上。県内約740カ所の薬局で発熱患者らの相談を受け付ける体制づくりに1億3500万円の事業費も盛り込んだ。

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 新年度当初予算案は、コロナ禍による出費増と税収減の両方をにらみながらの厳しい編成となった。公共事業費が2月補正に回り、166億円が浮いたもののコロナ対策の406億円が全体を押し上げ、その差額が前年度比約230億円増という上げ幅に直結した。

 406億円のうち国からの交付金は137億円で、残りは県費。うち約260億円は中小企業の資金繰り支援のため銀行に預託するもので、年度末には県に戻るため、実質的な県の持ち出しは8億円にとどまる。自主財源ではコロナ対策はおぼつかないのが実情だ。

 収入の柱となる県税と地方譲与税の総額は、経済活動の停滞のため前年度より180億円少ない1305億円。県税のうち法人2税(206億円)の減少幅が20%以上と厳しく見込んだ。

 これを埋めたのも地方交付税だ。後払いで手当てされる臨時財政対策債を含む国からの実質的な配分は、191億円だった。財政課の担当者は「これを地方だけで埋めるのは、かなり厳しいものがある」と言う。

 資金繰り支援のため今年度銀行に預けた預託金など約850億円が「その他の収入」として戻ってくるため、歳入に占める自主財源の比率は36%と、今年度並みを維持した。だが、全国的に見れば最低レベルだ。中村知事は「財政的な余力がなくなる状況は目の前」と説明。県税増収のため、「新分野の産業をこれまで以上に誘致していく」と話した。(横山輝)

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 今年度の一般会計補正予算案は600億5千万円。国が進める「国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」などの公共事業費が501億円を占める。83億円の新型コロナ対策費用は、事業者への給付金支給や宿泊誘客キャンペーン事業など、経済対策の性格が強い。24日開会の県議会2月定例会に提出する。

新型コロナウイルス関連事業(補正も含む)

ワクチン接種の体制づくり              (7900万円)

薬局での相談受け付け体制づくり         (1億3500万円)

介護施設でのロボット・ICT導入        (2億9800万円)

時短営業で影響を受けた取引事業者への給付金   (16億200万円)

製造業の雇用継続などへの支援               (6億円)

一泊5千円の宿泊誘客キャンペーン             (9億円)

公共交通事業者への緊急支援           (8億8800万円)

国境離島での宿泊に一泊5千円のクーポン     (2億7200万円)

ドライブスルー方式のPCR検査態勢維持     (1億9800万円)

コロナ患者受け入れ病院への病床確保支援    (64億9400万円)

軽症者向け宿泊療養施設の確保         (19億5800万円)

マスクやガウンなど医療物資の確保         (4億800万円)

医療機関などでの無症状者PCR検査費      (4億8900万円)

感染症対策を強化した歯科診療車の整備        (7700万円)

失職者300人を県が直接雇用          (4億6500万円)

延期になった修学旅行の再誘致            (8700万円)

その他の事業

【交通】

長崎新幹線整備事業             (163億2012万円)

長崎新幹線部分開業に向けたPR          (1億788万円)

長崎新幹線並行在来線の管理法人運営費        (2080万円)

【インフラ】

石木ダムを含むダム建設事業          (27億5218万円)

【観光】

IR区域整備計画の準備や交通インフラ整備    (1億9007万円)

【地域振興】

県立大情報セキュリティ産学共同研究センター整備(10億7000万円)

県庁跡地活用策の検討                (7723万円)

AIやSNSを活用した移住政策の推進        (6500万円)

リモートワークやワーケーション受け入れの促進    (2500万円)

【教育】

私立学校に1人1台パソコン整備を支援      (1億8200万円)

教員のICT活用や指導力向上を支援        (1億400万円)

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