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 山形県は16日、新年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は、今年度当初より689億7900万円(11・2%)多い6823億4300万円。吉村美栄子知事は記者会見で「コロナ克服・未来創造と、ポストコロナを見据えた二つの視点で編成した」と述べた。18日開会の県議会2月定例会に提案する。

 総額は3年連続の増加。予算規模は過去7番目、2001年度以来の多さ。新型コロナウイルス禍で、中小事業者への融資制度を運用するための預託金に659億円、感染者の入院に備える空きベッドへの補償に110億円を計上したことなどが主な理由という。

 吉村知事は1月の知事選で「コロナ克服! 山形経済再生!!」を旗印とし、子育て費用の段階的な完全無償化を公約の目玉に据えており、こうした姿勢が新年度予算案にも反映された。

 コロナの緊急対策費は、ワクチン接種に向けたコールセンターの設置や流通調整などを加え、139億7千万円を計上。県民が誰でもPCR検査を受けられる「県PCR自主検査センター」を県立河北病院(河北町)に設置、運用するため1億2千万円を充てる。

 子育て費用の段階的な無償化では11億2千万円を計上。来年1月以降に出産した人へ「出産支援給付金」5万8千円を給付。平均出産費用の推計額から、公的保険から支給される出産育児一時金を除いた額の半分という。0~2歳児の保育料は無償化されていない世帯のうち、推定年収330万円未満なら最大で月9750円、470万円未満なら最大で月1万5千円を支給する。

 一般会計の歳出を分類すると、一般行政費等が約811億円(39%)増えて2882億8千万円。インフラ整備に充てる投資的経費は、国が防災・減災などの公共事業を前倒しして県の今年度2月補正予算案に計上されたため、約106億円(11%)減って847億6千万円。人件費は1538億3千万円、社会保障関係費は673億9千万円で、いずれもほぼ前年並み。

 目的別では、前年度は4番目に多かった商工費が1331億3千万円とほぼ倍増し、首位に。衛生費も7割弱増えて369億円。

 歳入では、コロナ禍で県民税や法人事業税の減収が見込まれるため、県税が62億円(6%)減の1045億円。減額幅は、リーマン・ショック後の10年度以来の大きさという。地方交付税は22億円(1%)増の1772億円とした。

 借金にあたる県債の発行は、国の交付金不足を一時的に立て替える臨時財政対策債(臨財債)が7割近く増えるなどして、約35億円(5%)増の722億2千万円。当初時点で見込んだ21年度末の県債発行残高は、前年度末より約277億円(2%)増の1兆2108億1千万円。このうち臨財債などを除いた「実質的な残高」は、約64億円(1%)増の6612億2千万円と見積もった。

 それでも財源が不足し、貯金にあたる調整基金から151億4千万円取り崩す。当初時点で見込む21年度末残高は100億4千万円。「3桁を死守した」(県財政課)が過去10年では最少といい、吉村知事は「厳しい予算編成だった」と繰り返した。(上月英興、三宅範和)

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 県は合わせて、今年度の一般会計を26億5400万円増額する補正予算案を発表した。2月補正は減額されることが多いが、増額となったのは12年ぶり。補正後の総額は7463億2900万円。7千億円台に達したのは19年ぶりという。

 政府の補正予算への対応として、昨年7月豪雨を踏まえた最上川の治水対策などの公共事業に424億8千万円を計上。この治水対策では同規模の水害が起きても浸水被害が出ないことをめざし、2029年度までに国が約656億円、県が約500億円を投入する。道路除雪費も、1月末時点の降雪量が過去5年間で最大となっていることを踏まえ、18億7千万円を追加する。

主な事業

●は新規、○は拡充

●移住・関係人口創出拡大推進(2410万円) コロナ禍による地方への関心の高まりを受け、やまがた暮らしの実体験を発信するコミュニティーを設置。県内の魅力を掘り起こすオンラインセミナーなども開催

○消防防災ヘリ管理運営(2億2229万円) 県防災ヘリ「もがみ」の操縦士を2人態勢に拡充

○性犯罪・性暴力被害者支援(548万円) やまがた性暴力被害者サポートセンター(山形市)の夜間や休日の緊急時対応体制を整備

○昨年7月豪雨を踏まえた治水対策(2月補正を含め138億9851万円) 県管理河川の河道掘削、堤防や輪中堤の整備。国が管理する最上川の堤防整備費などを一部負担

○発達障害児(者)の支援体制整備(2167万円) 県内4地域への公認心理師配置による検査の実施体制や、発達障害の子どもを育てた経験のある「ペアレントメンター」との連携による相談支援体制の構築

○教職員の働き方改革の推進(4億4597万円) 学習プリントの印刷や消毒作業などを行うスクールサポートスタッフや、部活動指導員を増員。中学の休日の部活動をスポーツクラブが担うための実践研究

●女性の賃金向上推進(1億2037万円) 非正規で雇用する40歳未満の女性の賃金を時給30円以上引き上げた中小企業などに1人当たり3万円、正社員への転換で10万円を給付

●創業支援センター設置(3468万円) JR山形駅西口の霞城セントラル内に、県内での起業・創業希望者が相談できる窓口などを設置

●農業分野のデジタル化推進事業(5527万円) 衛星リモートセンシングによる「つや姫」の生育診断や、野菜パイプハウスの環境制御の自動化などの実装を進める

○洋上風力発電推進(1669万円) 遊佐町沖での導入に向けた法定協議会の設置・運営を調整。酒田市沖でも新たに導入を検討

○山形さくらんぼ生産力・ブランド力の強化(1373万円) 新品種「やまがた紅王」の大玉生産に向けた技術指導とロゴマークを活用したPR

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