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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が長引く影響で、東京都東村山市のバス会社「銀河鉄道」が窮地に陥っている。昨春の緊急事態宣言時は、市民のために赤字覚悟で無料通勤バスを運行した同社。売り上げの落ち込みを冬季のスキーバスの収入で補うつもりだったが予約は激減し、ついに路線バスの減便に追い込まれた。

 1999年に創業し、従業員約40人で路線バスと貸し切りバスを運行する。公共交通機関の担い手だが、国や自治体から運行補助金をもらわない経営方針を貫いてきた。西武線の東村山駅発着と、小平~国分寺駅を結ぶ2路線を抱えているが、以前から赤字になることが多く、貸し切りバスの利益を回してしのいできた。

 そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。昨年4月に出された1回目の宣言で、路線バスの乗客は3割に減り、今も6割ほどまでしか戻らない。感染拡大が小康状態となった秋以降、貸し切りバスの予約が戻り始め、1~2月は学校行事やスキーツアーなど約230件の予約があった。そこに2度目の宣言、そして宣言の延長……。7割以上がキャンセルになった。今後見込まれていたスキー旅行の予約も、めっきりなくなった。スタッドレスタイヤをつけた観光バス9台は多くの出番を失った。

「自助努力は限界だ」

 山本宏昭社長(57)は今の経営状況を人体にたとえ、「出血が止まらず倒れそうだ」。頼りにしていたスキーバスによる「輸血」もほぼ途絶えた。傷口をおさえるため、1月7日から路線バス2路線で計18本を減らさざるを得なかった。

 「危機のときこそ、公共交通としての使命感がある」と山本社長は言う。東日本大震災があった2011年、被災地に無料バスを出し、ボランティアのべ2千人を送迎。昨年3~9月は、感染の不安なく通勤してもらおうと、東村山市から都心までを運行する無料通勤バスも出した。「あれが最後の奉公だったかもしれない」と嘆く。

 乗客減とはいえ、毎朝通学の中高生が列をつくり、日中は高齢者の買い物・通院の頼みの綱であることには変わりない。山本社長は「コミュニティーバスとしての運行を検討してもらえないか」と自治体に掛け合ったが、「民間事業だ」と遠ざけられたという。「身を削って市民の足を守ってきたが、路線バス会社の自助努力は限界だ」(加藤あず佐)